老化に伴う視覚の変化で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
老化に伴う視覚の変化で正しいものを問う。視野が狭くなることである。
この問題で問われていること
加齢による変化の方向を、視覚の各機能について把握しているか。
しくみから理解する
加齢により、視野は狭くなる。網膜の感度の低下、水晶体と硝子体の混濁による光の透過の減少、瞳孔の縮小(老人性縮瞳)、そして眼瞼の下垂が加わり、周辺の見え方が悪くなる。とくに上方の視野は、眼瞼の下垂によって狭まりやすい。視野が狭いことは、歩行中に足元や側方の障害物に気づきにくいことを意味し、転倒の要因になる。声をかけるときは、正面から近づくことが基本になる。
選択肢ごとの確認
近くは見やすくなるのではなく、見えにくくなる。水晶体の弾性が失われ、毛様体筋の機能も低下するため、近くにピントを合わせる調節力が低下する(老視)。40歳代から自覚され、新聞や薬の説明書を遠ざけて読むようになる。
色の識別はしにくくなる。水晶体が黄色く変化するため、短波長の光(青、紫)が吸収され、青系統の色が見分けにくくなる。青と緑、青と黒の区別がつきにくくなるため、標識や薬の識別、床と壁の見分けに影響する。環境の調整では、明度の差(コントラスト)をつけることが有効になる。
明暗順応の時間は短縮ではなく延長する。暗い場所に入ったときに目が慣れるまでの時間が長くなるため、夜間にトイレへ行く場面や、明るい屋外から屋内へ入る場面で、一時的に見えにくい状態が生じる。足元灯の設置や、段階的に明るさを変える工夫が転倒の予防になる。
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混同しやすいポイント
誤肢3つが、いずれも「良くなる」「速くなる」という方向で作られている。加齢による感覚の変化は、原則としてすべて低下する方向になる。視力、視野、調節力、色の識別、明暗順応、コントラスト感度、まぶしさへの耐性、いずれも低下または悪化する。この一貫した方向を持っていれば、逆を述べる選択肢は落とせる。
理解を深める
高齢者の視覚の変化に応じた環境の調整を具体的に挙げる。照度を十分に確保する(若年者の2〜3倍が必要とされる)が、まぶしさは避ける(光源が直接目に入らない、床の反射を抑える)。色のコントラストをつける(床と壁、段差の縁、トイレの便座と床、食器と食事)。文字は大きく、書体は明瞭に、背景とのコントラストを高くする。夜間の足元灯を設置する。明るさが急に変わる場所(玄関、廊下の曲がり角)に注意する。眼鏡の度が合っているかを確認する。加齢による変化に加えて、白内障、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症といった疾患が重なることも多い。白内障は手術で改善するが、緑内障で失われた視野は戻らないため、早期発見のための検診が重要になる。視覚の低下は、転倒、閉じこもり、抑うつ、認知機能の低下と関連するため、生活全体への影響を意識して支援する。
間違えやすい考え方
変化の方向を問う型で、誤肢がすべて「良くなる」方向である。感覚は低下するという一貫した方向で切る。
5分で振り返る
①視野は狭くなる(網膜の感度低下、水晶体の混濁、縮瞳、眼瞼下垂)。②近くが見えにくくなる(老視、40歳代から)。③水晶体の黄変で青系統の色が見分けにくい。④明暗順応の時間は延長する(夜間のトイレで危険)。⑤必要な照度は若年者の2〜3倍だが、まぶしさは避ける。⑥コントラストをつける(床と壁、段差の縁)。⑦白内障・緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症が重なることも多い。
1分チェック
- 老化に伴う視覚の変化は。→ 視野が狭くなる(近くは見えにくく、色の識別と明暗順応も低下)。
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