器質的変化で嚥下障害が出現する疾患はどれか。
公式正答:1
解説
器質的変化で嚥下障害が出現する疾患を問う。食道癌である。
この問題で問われていること
嚥下障害を、器質的と機能的に分けられるか。
しくみから理解する
嚥下障害は、原因によって器質的なものと機能的なものに分けられる。器質的嚥下障害は、食物の通り道そのものに形態的な異常があるために生じる。食道癌では、腫瘍が内腔を狭くして食物の通過を妨げるため、これにあたる。初期には固形物のつかえ感から始まり、進行すると軟らかい物、さらに液体も通りにくくなるという経過をたどる。他の器質的な原因としては、咽頭・喉頭の腫瘍、食道の狭窄や炎症、頸椎の骨棘、術後の瘢痕がある。
選択肢ごとの確認
脳血管疾患による嚥下障害は機能的なものになる。嚥下に関わる神経と筋の働きが障害されるためで、通り道の形態そのものには異常がない。延髄の障害(球麻痺)や、両側の大脳の障害(仮性球麻痺)で生じる。
筋強直性ジストロフィーも機能的な嚥下障害を起こす。筋の収縮後の弛緩が遅れる(筋強直)ことと、筋力低下により、嚥下に関わる筋の働きが障害される。
ギラン・バレー症候群も機能的なものになる。末梢神経が障害され、球麻痺を伴えば嚥下障害が生じる。多くは可逆的で、回復に伴い改善する。
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混同しやすいポイント
『通り道の形が問題か、動かす仕組みが問題か』で分ける。器質的=腫瘍、狭窄、炎症、瘢痕、圧迫(形の異常)。機能的=脳血管障害、神経筋疾患、認知症、加齢、薬剤(動きの異常)。誤肢3つはすべて神経筋の疾患であり、機能的な原因になる。分類を知っていれば、疾患名から判断できる。
理解を深める
嚥下障害への対応は、原因によって異なる。器質的な原因では、狭窄の解除(手術、ステント、拡張術)、あるいは経路を変える(胃瘻、中心静脈栄養)ことが中心になる。食道癌では、進行度に応じて手術、化学放射線療法が選択され、通過障害が強ければステント留置や胃瘻造設が行われる。機能的な原因では、嚥下訓練(間接訓練と直接訓練)、食形態の調整、姿勢の工夫、代償法(頸部前屈、複数回嚥下、交互嚥下)が中心になる。評価としては、反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテスト、フードテストといったスクリーニングの後、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査で詳しく調べる。看護では、食事の場面の観察(むせ、湿性嗄声、食事に時間がかかる、食後の疲労、食べ残しの部位)、体重と食事摂取量の推移、発熱の有無を見る。誤嚥性肺炎を繰り返す場合は、経口摂取の可否について本人と家族を交えて話し合う必要が生じる。
間違えやすい考え方
分類を問う型で、誤肢がすべて機能的な原因である。形の異常か動きの異常かで切る。
5分で振り返る
①器質的嚥下障害=通り道の形の異常(腫瘍、狭窄、炎症、瘢痕、圧迫)。②機能的嚥下障害=動かす仕組みの異常(脳血管障害、神経筋疾患、認知症、加齢、薬剤)。③食道癌は固形物のつかえ感から始まり、次第に液体も通りにくくなる。④器質的な原因への対応は狭窄の解除か経路の変更。⑤機能的な原因への対応は嚥下訓練、食形態、姿勢、代償法。⑥評価はスクリーニングの後、嚥下造影・嚥下内視鏡。⑦むせ、湿性嗄声、食事時間の延長、発熱を観察する。
1分チェック
- 器質的嚥下障害の原因は。→ 食道癌など、通り道の形態に異常があるもの。
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