緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。
公式正答:3
解説
緑内障患者への投与が禁忌なものを問う。アトロピンである。
この問題で問われていること
薬剤の作用機序から、禁忌となる病態を導けるか。
しくみから理解する
アトロピンは抗コリン薬で、ムスカリン受容体を遮断する。眼では、瞳孔括約筋の収縮を抑えるため瞳孔が散大する(散瞳)。散瞳すると、虹彩が隅角側に寄せられて房水の流出路が狭くなり、眼圧が急激に上昇する。とくに、もともと隅角が狭い閉塞隅角緑内障では、急性緑内障発作を起こしうる。発作では、激しい眼痛と頭痛、悪心・嘔吐、視力低下、充血、角膜の混濁が生じ、放置すれば短時間で失明に至る。したがって、閉塞隅角緑内障では抗コリン薬が禁忌になる。
選択肢ごとの確認
コデインは麻薬性鎮咳薬で、鎮咳と鎮痛の作用を持つ。便秘、呼吸抑制、眠気が副作用になるが、緑内障の禁忌ではない。
アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬で、消化性潰瘍、アスピリン喘息、出血傾向、妊娠後期が禁忌になる。緑内障は禁忌ではない。
ジゴキシンは強心配糖体で、心不全と心房細動に用いる。中毒(悪心、視覚異常、不整脈)に注意するが、緑内障の禁忌ではない。なお中毒症状として黄視や光がちらつく視覚異常が現れることがあり、眼の症状という点で紛らわしい。
フェニトインは抗てんかん薬で、歯肉増殖、小脳症状、皮疹が副作用になる。緑内障は禁忌ではない。
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混同しやすいポイント
抗コリン作用のある薬剤を一覧で持っておくと、この種の設問に対応できる。アトロピンとスコポラミン、ブチルスコポラミン(鎮痙薬)、三環系抗うつ薬、第一世代抗ヒスタミン薬、一部の抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、過活動膀胱の治療薬などである。これらに共通する禁忌が、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症による排尿障害、麻痺性イレウスになる。副作用も共通し、口渇、便秘、尿閉、かすみ目、頻脈、認知機能への影響がある。高齢者ではとくに注意が要る。
理解を深める
緑内障には、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障がある。日本では開放隅角(とくに正常眼圧緑内障)が多く、この場合は散瞳による急激な眼圧上昇のリスクは低いため、抗コリン薬が一律に禁忌とはならない。しかし、患者がどちらの型かを把握していないことも多く、添付文書では「緑内障」として禁忌が記載されているため、実務上は確認が必要になる。緑内障の治療は、点眼薬による眼圧の下降が中心で、プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬などが用いられる。β遮断薬の点眼は、全身へ吸収されて喘息の悪化や徐脈を招くことがあるため、既往の確認が要る。緑内障で失われた視野は回復しないため、早期発見と治療の継続が重要になる。自覚症状が乏しいまま進行するため、健診での眼圧測定と眼底検査、そして服薬(点眼)の継続の支援が看護の役割になる。
間違えやすい考え方
禁忌を問う型で、誤肢がすべて別の禁忌を持つ薬剤である。抗コリン作用と散瞳という機序で切る。
5分で振り返る
①アトロピンは抗コリン薬で散瞳を起こす。②散瞳により隅角が狭くなり眼圧が急上昇する(閉塞隅角緑内障で急性発作)。③抗コリン薬の共通の禁忌=閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症、麻痺性イレウス。④共通の副作用=口渇、便秘、尿閉、かすみ目、頻脈、認知機能への影響。⑤日本では開放隅角緑内障が多く一律の禁忌ではないが、型が不明なことが多く確認が要る。⑥急性緑内障発作は眼痛・頭痛・悪心嘔吐・視力低下。⑦β遮断薬の点眼は喘息と徐脈に注意。
1分チェック
- 緑内障に禁忌なのは。→ アトロピンなどの抗コリン薬(散瞳により眼圧が上がる)。
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