Ramsay Hunt〈ラムゼイ・ハント〉症候群 Ramsay Hunt syndrome は顔面神経麻痺症状を主症状とする。 原因となるウイルスはどれか。
公式正答:3
解説
ラムゼイ・ハント症候群の原因となるウイルスを問う。水痘帯状疱疹ウイルスである。
この問題で問われていること
疾患と原因ウイルスを対応づけられるか。
しくみから理解する
水痘帯状疱疹ウイルスは、初感染で水痘(水ぼうそう)を起こした後、脊髄後根神経節や脳神経の神経節に潜伏する。免疫が低下したときに再活性化し、その神経の支配領域に帯状疱疹を生じる。顔面神経の膝神経節で再活性化したものがラムゼイ・ハント症候群で、末梢性の顔面神経麻痺に加え、耳介と外耳道の水疱、耳痛、そして内耳の障害による難聴、耳鳴、めまいを伴う。同じ末梢性顔面神経麻痺でも、特発性のベル麻痺より予後が悪く、早期の治療が重要になる。
選択肢ごとの確認
アデノウイルスは、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎、扁桃炎、胃腸炎、出血性膀胱炎を起こす。顔面神経麻痺の原因ではない。
インフルエンザウイルスは、インフルエンザを起こす。合併症として肺炎、脳症、心筋炎があるが、ラムゼイ・ハント症候群の原因ではない。
単純ヘルペスウイルスは、口唇ヘルペス、性器ヘルペス、ヘルペス脳炎、角膜ヘルペスを起こす。ベル麻痺(特発性の顔面神経麻痺)の原因としてこのウイルスの再活性化が関与するとされており、その点で紛らわしい。ベル麻痺=単純ヘルペス、ラムゼイ・ハント=水痘帯状疱疹、と対で覚える。
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混同しやすいポイント
誤肢4の単純ヘルペスウイルスとの区別が要点になる。どちらもヘルペスウイルス科に属し、どちらも顔面神経麻痺に関わるが、疾患名が異なる。ベル麻痺は水疱を伴わず、ラムゼイ・ハント症候群は耳介の水疱と内耳症状を伴う。この臨床像の違いが、原因ウイルスの違いに対応している。水疱があるかどうかが鑑別の手がかりになる。
理解を深める
治療は、抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)と副腎皮質ステロイドを、発症からできるだけ早く(72時間以内が望ましい)開始する。麻痺の回復率はベル麻痺より低く、後遺症(麻痺の残存、病的共同運動、ワニの涙)を残すことがある。看護では、閉眼できないことによる角膜の乾燥と損傷を防ぐことが最優先になる。人工涙液、眼軟膏、就寝時の眼帯やテーピングを用いる。食事では、患側の口角から食物がこぼれる、頬の内側に食物が溜まる、といった問題が生じるため、健側で咀嚼する、食後に口腔内を確認するといった工夫を伝える。めまいと難聴を伴う場合は、転倒の予防と、コミュニケーションへの配慮が要る。顔の変化は外見に直結するため心理的な負担が大きく、回復の見通しを伝え、表情筋のマッサージや訓練は専門職の指示に沿って行うよう説明する。50歳以上では帯状疱疹ワクチンによる予防が可能で、情報提供の対象になる。
間違えやすい考え方
原因ウイルスを問う型で、誤肢に同じ科の紛らわしいウイルスが含まれる。臨床像(水疱と内耳症状)で切る。
5分で振り返る
①ラムゼイ・ハント症候群=水痘帯状疱疹ウイルスの膝神経節での再活性化。②末梢性顔面神経麻痺+耳介と外耳道の水疱+耳痛+難聴・耳鳴・めまい。③ベル麻痺は単純ヘルペスウイルスの関与、水疱を伴わない。④ラムゼイ・ハントのほうが予後が悪い。⑤治療は抗ウイルス薬とステロイドを72時間以内に開始。⑥看護は角膜の保護が最優先(人工涙液、眼軟膏、就寝時の保護)。⑦50歳以上は帯状疱疹ワクチンで予防できる。
1分チェック
- ラムゼイ・ハント症候群の原因は。→ 水痘帯状疱疹ウイルス(膝神経節での再活性化)。
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