Broca〈ブローカ〉失語のある患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
ブローカ失語のある患者とのコミュニケーションで適切なものを問う。閉じた質問を活用することである。
この問題で問われていること
失語のタイプごとに、何が障害され何が保たれるかを把握しているか。
しくみから理解する
ブローカ失語(運動性失語、非流暢性失語)では、言葉の理解は比較的保たれるが、話すこと(発話)が著しく困難になる。発話は非流暢で、努力を要し、短い単語の羅列になり、助詞が抜ける。本人は言いたいことが分かっているのに言葉にできず、強いもどかしさを感じる。したがって、「はい」「いいえ」や短い語で答えられる閉じた質問を用いると、意思を伝えやすくなる。うなずきや指さし、絵カードを併用することも有効になる。
選択肢ごとの確認
大きな声で話す必要はない。失語は聴力の問題ではなく、言語の処理の問題である。大きな声は、聞こえていないと誤解されているという印象を与え、自尊心を傷つける。普通の声で、ゆっくり、短く、はっきり話す。
単語で話しかける必要はない。ブローカ失語では理解が比較的保たれているため、短く区切った自然な文で話しかけてよい。単語だけの話し方は、子ども扱いされていると感じさせうる。ただし、長い複文や複数の情報を一度に伝えることは避ける。
文字盤の使用は、この場面では有効性が限られる。ブローカ失語では、話すことと同様に書くことも障害されることが多く(失書を伴う)、文字盤で意思を伝えるのは難しい。文字盤が有効なのは、言語機能は保たれているが発語や書字の運動ができない場合(構音障害、筋萎縮性側索硬化症など)になる。
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混同しやすいポイント
失語のタイプごとに、コミュニケーションの方法が変わる。ブローカ失語=理解は保たれ発話が困難→閉じた質問、うなずき、指さし、絵カード。ウェルニッケ失語(感覚性失語、流暢性失語)=発話は流暢だが意味をなさず、理解が困難→ジェスチャー、実物を見せる、短い言葉、表情や状況の手がかり。全失語=理解も発話も困難→非言語的な手段と、表情や態度で伝える。誤肢は、聴力の問題との混同、子ども扱い、別の障害への対応で構成されている。
理解を深める
失語症のある人との関わりでは、いくつかの原則がある。時間をかけ、急がせない。話す機会を奪わない(先回りして代わりに言わない)。分かったふりをしない(伝わらなかったら、別の方法を試す)。静かな環境をつくる。一度に一つのことを伝える。書いて示す、絵や写真を使う、実物を見せるといった複数の手段を組み合わせる。そして、言語の障害は知的能力の障害ではないことを、本人にも周囲にも理解してもらう。失語症のある人は、言葉が出ないために「分かっていない」と誤解されやすく、それが最も大きな苦痛になる。言語聴覚士による訓練と並行して、日常の中で伝わる体験を積み重ねることが回復を支える。家族への説明も重要で、家族が焦って言葉を促したり、代わりに答えたりすると、本人の意欲を損なう。失語症友の会といった当事者の集まりも、社会参加の場として意味を持つ。
間違えやすい考え方
コミュニケーション方法を問う型で、誤肢が聴力との混同・子ども扱い・別の障害への対応である。失語のタイプで切る。
5分で振り返る
①ブローカ失語(運動性・非流暢性)=理解は比較的保たれ、発話が困難。②閉じた質問(はい・いいえ)、うなずき、指さし、絵カードが有効。③大きな声は不要(聴力の問題ではない)。④単語だけの話し方は子ども扱いに感じられる。⑤書字も障害されることが多く文字盤は有効性が限られる。⑥ウェルニッケ失語は発話は流暢だが理解が困難。⑦言語の障害は知的能力の障害ではない。
1分チェック
- ブローカ失語では。→ 理解は保たれ発話が困難。閉じた質問で答えやすくする。
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