うっ血性心不全〈congestive heart failure〉 が疑われる患者が救急外来を受診した。その際、12 誘導心電図検査、胸部エックス線検査に加えて行われる優先度が高 い検査はどれか。
公式正答:2
解説
うっ血性心不全が疑われる患者に、12誘導心電図と胸部エックス線に加えて行う優先度の高い検査を問う。心臓超音波検査である。
この問題で問われていること
検査の侵襲性と、得られる情報から優先度を判断できるか。
しくみから理解する
心臓超音波検査は、非侵襲的で、ベッドサイドで短時間に実施でき、心不全の診断に必要な情報を包括的に得られる。左室駆出率(収縮能)、拡張能、壁運動の異常(虚血の部位)、弁の状態と逆流、心腔の大きさ、心囊液の有無、下大静脈の径(体液量の推定)、推定肺動脈圧が分かる。心不全の原因を特定し、収縮不全か拡張不全かを分け、治療方針を決めるうえで中心的な検査になる。救急外来という状況では、この非侵襲性と迅速性が決定的になる。
選択肢ごとの確認
冠動脈CT検査は、冠動脈の狭窄を評価するのに有用だが、造影剤を用い、腎機能への配慮が必要で、心拍が速いと画質が落ちる。心不全の急性期に優先される検査ではない。
心筋シンチグラムは、放射性医薬品を用いて心筋の血流や代謝を評価する核医学検査である。有用な情報が得られるが、検査に時間がかかり、実施できる施設と時間帯も限られる。急性期の第一選択にはならない。
心臓カテーテル検査は、動脈から カテーテルを挿入する侵襲的な検査で、冠動脈造影と血行動態の測定を行う。急性冠症候群が疑われる場合には緊急で行われるが、うっ血性心不全一般に対して、非侵襲的な検査に先立って行うものではない。
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混同しやすいポイント
『非侵襲的で、迅速で、情報量が多いものから』という優先順位で考える。心不全の初期評価は、病歴と身体所見、心電図、胸部エックス線、血液検査(脳性ナトリウム利尿ペプチド)、そして心臓超音波検査で構成される。誤肢はいずれも、造影剤、放射性医薬品、カテーテルという侵襲や制約を伴う検査であり、この段階では優先されない。
理解を深める
心不全の診断では、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)またはNT-proBNPの測定も重要になる。心筋細胞が作るproBNPが切断されて、生理活性のあるBNPと、活性のないN末端側の断片であるNT-proBNPが生じる。つまりNT-proBNPはBNPの前駆体ではなく、同じ前駆体から生じるもう一方の断片になる。心室の負荷に応じて分泌され、心不全の除外と重症度の評価に用いられる。身体所見としては、左心不全で起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難、湿性ラ音、ピンク色泡沫状痰、Ⅲ音の聴取。右心不全で頸静脈怒張、下腿浮腫、肝腫大、体重増加がみられる。治療は、うっ血に対する利尿薬と血管拡張薬、心保護のためのレニン・アンジオテンシン系阻害薬とβ遮断薬、必要に応じた強心薬、そして原因疾患への対応から成る。看護では、毎日同じ条件での体重測定(体液量の最も鋭敏な指標)、水分と塩分の管理、呼吸困難時の体位(起坐位)、活動と休息のバランス、服薬の継続、そして増悪の徴候(体重増加、息切れの悪化、浮腫、夜間の呼吸困難)を患者と家族に伝えることが中心になる。数日で2kg以上の体重増加は受診の目安になる。
間違えやすい考え方
検査の優先度を問う型で、誤肢がすべて侵襲や制約を伴う検査である。非侵襲性と迅速性で切る。
5分で振り返る
①心臓超音波検査は非侵襲的でベッドサイドで実施でき、収縮能・拡張能・壁運動・弁・心腔の大きさ・下大静脈径が分かる。②冠動脈CTは造影剤、心筋シンチは時間と設備、カテーテルは侵襲を伴い、急性期の第一選択にならない。③脳性ナトリウム利尿ペプチドも診断と重症度の評価に用いる。④左心不全=起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難、湿性ラ音。⑤右心不全=頸静脈怒張、下腿浮腫、肝腫大。⑥毎日の体重測定が最も鋭敏な指標。⑦数日で2kg以上の増加は受診の目安。
1分チェック
- 心不全の初期評価で優先される検査は。→ 心臓超音波検査(非侵襲的で情報量が多い)。
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