急性髄膜炎〈acute meningitis〉 患者への対応で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
急性髄膜炎患者への対応で正しいものを問う。部屋の照明を暗くすることである。
この問題で問われていること
髄膜刺激症状の一つである羞明への対応を選べるか。
しくみから理解する
髄膜炎では、髄膜の炎症により、頭痛、発熱、項部硬直、悪心・嘔吐に加えて、光を過度にまぶしく感じる羞明が生じる。これは髄膜刺激症状の一つで、明るい光が強い不快と頭痛の増悪をもたらす。したがって、部屋の照明を落とし、直射日光を避け、必要に応じてカーテンを閉めることが、症状の緩和につながる。あわせて、音や振動といった刺激も最小限にし、静かな環境を保つ。処置やケアはまとめて行い、休息の時間を確保する。
選択肢ごとの確認
鎮痛薬は禁忌ではない。髄膜炎の頭痛は激しく、鎮痛は重要なケアになる。むしろ疼痛を放置すれば、血圧の上昇、不穏、睡眠の障害を招く。意識レベルの評価を妨げない範囲で、適切に鎮痛する。
頭部に温罨法を行うのは適切でない。温めることで血管が拡張し、頭痛が増悪しうる。頭痛の緩和には冷罨法のほうが適する場合が多い。
腰椎穿刺の直後は、頭部を高くするのではなく水平に保つ。穿刺により硬膜に孔があき、そこから髄液が漏れ続けると髄液圧が低下して、起き上がったときに悪化する低髄圧性頭痛が生じる。そのため検査の直後は、枕を外した水平仰臥位を保つ。なお、検査後の臥床安静そのものに頭痛を予防する効果は、無作為化試験とその統合では示されていない。処置の後は、頭痛、悪心、穿刺部からの漏れ、神経症状を観察し、頭痛が生じた場合は臥床、水分摂取、鎮痛薬で対応し、続く場合は硬膜外自家血注入が検討される。なお脊髄造影の後は、造影剤の頭蓋内への流入を防ぐため頭部を挙上するという逆の管理になり、この違いは混同しやすい。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも、症状を悪化させる方向の対応になっている。鎮痛を控える、温める、頭部を上げる。髄膜炎という病態(炎症による刺激、頭蓋内圧の変化)から、何が症状を強めるかを考えると判断できる。とくに腰椎穿刺後の体位は、脊髄造影後との対比で押さえておく。
理解を深める
急性髄膜炎は、細菌性とウイルス性(無菌性)に大別される。細菌性は緊急性が高く、発症から数時間で重篤化しうるため、疑ったら直ちに腰椎穿刺と血液培養を行い、抗菌薬を開始する(検査を待って治療を遅らせない)。髄液所見では、細菌性で細胞数の著明な増加(好中球優位)、蛋白の増加、糖の低下がみられ、ウイルス性ではリンパ球優位で糖は正常のことが多い。症状としては、発熱、頭痛、項部硬直の3徴に加え、意識障害、けいれん、そして髄膜炎菌によるものでは点状出血や紫斑が現れる。ケルニッヒ徴候とブルジンスキー徴候も髄膜刺激症状になる。看護では、意識レベル、瞳孔、けいれん、バイタルサイン、頭蓋内圧亢進の徴候を頻回に観察し、静かで暗い環境を整え、疼痛と発熱を緩和し、水分と電解質を管理する。原因菌が判明するまでは、経験的に飛沫予防策をとる。判明後は菌により異なり、髄膜炎菌とインフルエンザ菌b型によるものでは、有効な抗菌薬の開始から24時間まで飛沫予防策を続け、肺炎球菌によるものは標準予防策で足りる。髄膜炎菌の場合は、接触者への予防投薬も検討される。予防としては、ヒブ、肺炎球菌、髄膜炎菌のワクチンがある。
間違えやすい考え方
『正しい対応』を問う型で、誤肢がすべて症状を悪化させる方向である。病態から何が症状を強めるかで切る。
5分で振り返る
①髄膜刺激症状に羞明が含まれ、明るい光が頭痛を悪化させる→照明を落とす。②音や振動も最小限にし、処置はまとめて休息を確保する。③鎮痛薬は禁忌ではなく、適切に鎮痛する。④頭部の温罨法は血管拡張により頭痛を増悪させうる。⑤腰椎穿刺の直後は頭部を挙上せず水平仰臥位を保つ(臥床安静そのものに頭痛の予防効果は示されていない。頭痛が生じたら臥床、水分、鎮痛薬で対応する)。脊髄造影後は逆に頭部を挙上する。⑥細菌性は緊急で、検査を待たず抗菌薬を開始する。⑦髄液は細菌性で好中球優位・糖低下、ウイルス性でリンパ球優位・糖正常。
1分チェック
- 髄膜炎の患者の環境は。→ 照明を落として静かに(羞明は髄膜刺激症状)。
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