順調に分娩が進行している妊娠40 週0日の初産婦から「腟から水っぽいものが流 れ、下着が濡れた」とナースコールがあった。看護師が流出したものを確認すると、 量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。 このときの産婦への対応で優先度が高いのはどれか。
公式正答:2
解説
妊娠40週0日の初産婦が破水した際の対応で優先度が高いものを問う。胎児心拍数を確認することである。
この問題で問われていること
破水の直後に最も危険な合併症を把握しているか。
しくみから理解する
破水の直後に最も警戒すべきは臍帯脱出である。羊水が流出する際に、臍帯が児頭より先に下降して腟内や外陰部に出ると、児頭と骨盤の間で圧迫され、胎児への血流が途絶える。これは数分で胎児死亡に至りうる緊急事態になる。臍帯が圧迫されているかどうかを最も速やかに知る手段が胎児心拍数の確認であり、高度の徐脈や変動一過性徐脈が現れれば直ちに対応する。したがって、破水を確認したらまず胎児心拍数を見る、が原則になる。
選択肢ごとの確認
バイタルサインの測定も必要だが、母体の状態より先に胎児の状態を確認する。母体のバイタルサインは、感染や出血の評価として重要だが、破水直後の数分を争う事態は臍帯脱出になる。
食事摂取を勧めることは、この場面の優先事項ではない。分娩の進行中の飲食は施設の方針によるが、破水直後に判断することではない。
更衣を促すことは、清潔と快適さのために必要になるが、胎児の安全確認より優先されない。
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混同しやすいポイント
『破水したらまず胎児心拍』と覚える。誤肢はいずれも、後で行えばよいことである。優先度を問う設問では、時間の猶予がどれだけあるかで判断する。臍帯脱出は数分の勝負であり、他の3つは数分から数十分の遅れが致命的にならない。
理解を深める
臍帯脱出のリスクが高いのは、児頭が骨盤に固定していない状況になる。骨盤位、横位、児頭浮動、多胎、羊水過多、早産、児頭骨盤不均衡がこれにあたる。脱出を認めた場合の対応は、①直ちに応援を呼ぶ、②内診指で児頭を押し上げて臍帯の圧迫を解除する、③骨盤高位(トレンデレンブルク体位)または胸膝位をとる、④酸素投与、⑤子宮収縮薬を使用中であれば中止、⑥緊急帝王切開の準備、になる。臍帯を腟内へ戻そうとしない、露出した臍帯は温めた生理食塩水のガーゼで覆って乾燥を防ぐ、という点も重要になる。破水後は、臍帯脱出のほかに、感染(絨毛膜羊膜炎)のリスクも高まるため、体温、脈拍、羊水の性状(悪臭、混濁)、子宮の圧痛、そして胎児心拍数の基線の上昇を継続して観察する。羊水が緑色に混濁している場合は胎便による混濁で、胎児機能不全を疑い、出生時の対応(胎便吸引症候群への備え)を準備する。
間違えやすい考え方
優先度を問う型で、誤肢がいずれも後で行えばよいことである。時間の猶予で切る。
5分で振り返る
①破水直後に最も警戒すべきは臍帯脱出(数分で胎児死亡に至りうる)。②最も速やかに知る手段が胎児心拍数の確認。③リスクが高いのは骨盤位、横位、児頭浮動、多胎、羊水過多、早産。④脱出時は児頭を押し上げ、骨盤高位または胸膝位、緊急帝王切開の準備。⑤臍帯を戻さず、温めた生理食塩水のガーゼで覆う。⑥破水後は感染のリスクも高まる(体温、羊水の性状、子宮の圧痛、心拍数基線)。⑦羊水の緑色混濁は胎便によるもの。
1分チェック
- 破水を確認したらまず何をするか。→ 胎児心拍数の確認(臍帯脱出は数分で致命的になる)。
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