人を援助する過程で自分の職務に対して継続して努力したが、満足感や達成感が 得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるのはどれか。
公式正答:4
解説
人を援助する過程で職務に継続して努力したが、満足感や達成感が得られず、うつ症状や社会機能の低下を生じるものを問う。燃え尽き症候群である。
この問題で問われていること
用語の意味を、状況と症状から特定できるか。
しくみから理解する
燃え尽き症候群(バーンアウト)は、対人援助職に多くみられる、長期にわたる職業性のストレスによって生じる状態を指す。マスラックは、①情緒的消耗感(気力が尽きた感覚)、②脱人格化(相手を人としてではなく物のように扱う、冷淡になる)、③個人的達成感の低下、の3つの要素で捉えた。熱心に取り組んできた人ほど陥りやすいとされ、理想と現実のずれ、努力に見合う手応えの欠如、そして感情労働の負担が背景にある。設問文の「継続して努力したが満足感や達成感が得られず」という記述が、この状態を指している。
選択肢ごとの確認
悪性症候群は、抗精神病薬などの薬剤によって生じる重篤な副作用で、高熱、著明な筋強剛、意識障害、自律神経症状、CK上昇をきたす。職業性ストレスとは無関係になる。
空の巣症候群は、子どもが独立して家を離れた後に、親(とくに母親)が空虚感、喪失感、抑うつを感じる状態を指す。育児という役割の喪失によるもので、職務に関わるものではない。
緊張病症候群(カタトニア)は、無動、無言、拒絶、常同的な姿勢の保持、蝋屈症といった運動と行動の異常を示す状態で、統合失調症、気分障害、身体疾患に伴って生じる。職業性ストレスによるものではない。
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混同しやすいポイント
設問文の条件を丁寧に読む。「人を援助する過程で」=対人援助職、「継続して努力した」=長期にわたる、「満足感や達成感が得られず」=報われない、「うつ症状や社会機能の低下」=結果としての状態。この4つが揃うのは燃え尽き症候群になる。誤肢は、薬剤性、役割の喪失、精神症状という別の文脈に属している。
理解を深める
燃え尽きの予防には、個人と組織の両面からの対策が要る。個人としては、休息の確保、勤務時間外に仕事から離れる時間を持つ、相談できる相手を持つ、自分の限界を認める、完璧を求めすぎない、達成できたことに目を向ける、といったことがある。組織としては、業務量と勤務体制の調整、役割の明確化、裁量の確保(自分で決められる部分があること)、評価とフィードバック、教育と支援体制、そして職員が困難を語れる場(カンファレンス、事例検討、デブリーフィング)の確保が挙げられる。とくに、努力が報われないという感覚が中核にあるため、成果が見えにくい仕事において、何ができているかを言語化して共有することが有効になる。看護は、患者の死や苦痛に日常的に接し、感情を管理しながら働くことを求められる仕事であり、その負担が構造的に存在することを、個人の弱さの問題にしないことが重要になる。共感疲労、道徳的苦悩といった関連する概念も、近年注目されている。
間違えやすい考え方
用語を問う型で、誤肢が薬剤性・役割喪失・精神症状である。設問文の4条件で切る。
5分で振り返る
①燃え尽き症候群=対人援助職に多い、長期の職業性ストレスによる状態。②3要素=情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成感の低下(マスラック)。③熱心な人ほど陥りやすく、理想と現実のずれ、報われなさ、感情労働が背景。④悪性症候群は薬剤性、空の巣症候群は役割の喪失、緊張病症候群は運動と行動の異常。⑤予防は個人(休息、相談、限界を認める)と組織(業務量、裁量、評価、語れる場)の両面。⑥成果が見えにくいため、できていることを言語化して共有する。⑦個人の弱さの問題にしない。
1分チェック
- 対人援助職が報われずに疲弊する状態は。→ 燃え尽き症候群(情緒的消耗感、脱人格化、達成感の低下)。
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