A さん(78 歳、女性、要支援1)は1人で暮らしており、認知機能や嚥下機能の 低下はない。訪問看護師は、内科と整形外科から朝2種類、夕3種類の合計5種類 の内服薬が処方されていることを確認し、夕方に飲む薬だけが減っていることに気 付いた。 訪問看護師のA さんへの対応で最も適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
認知機能と嚥下機能の低下がない78歳独居女性について、朝2種類・夕3種類の内服薬のうち夕方の薬だけが減っていることを訪問看護師が確認した場面での対応を問う。どの薬を何時に内服しているのかを聞くことである。
この問題で問われていること
事実を確認する前に対策を決めないという順序を守れるか。
しくみから理解する
夕方の薬だけが減っているという観察から考えられることは複数ある。朝の薬を飲み忘れている、朝は飲みにくい事情がある(起床時刻、食事の時間、体調)、そもそも朝の薬を夕方にまとめて飲んでいる、朝の薬を別の場所に置いている、あるいは意図的に飲んでいない(副作用、必要性を感じない、費用)。これらは対応が全く異なるため、まず本人に、どの薬を何時に飲んでいるかを具体的に聞いて、実態を明らかにする必要がある。認知機能の低下がないと明記されているため、本人から正確な情報を得られる可能性が高い。
選択肢ごとの確認
服薬用ゼリーは、嚥下が困難な場合の工夫になる。設問文に嚥下機能の低下はないと明記されており、この対応は原因に合っていない。
5種類飲む必要があると説明することは、本人が必要性を理解していないと決めつけることになる。実態を確認する前に指導を始めると、的外れになるうえ、責められたと受け取られうる。
訪問介護による服薬の介助を依頼することは、原因によっては有効だが、まだ原因が分かっていない段階では早すぎる。また要支援1で、認知機能の低下もない人に対して、自分でできることを他者に任せる方向の提案は、自立を損なう可能性がある。
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混同しやすいポイント
『まず事実を確認する』という原則が、ここでも当てはまる。誤肢は、嚥下の問題と決めつける、理解不足と決めつける、支援を導入すると決めつける、という3つの先回りになっている。観察された事実(夕方の薬だけ減っている)から、いくつもの仮説が立つ状況では、本人に聞くことが最も確実で早い方法になる。
理解を深める
在宅での服薬管理の支援では、まず現状を正確に把握することから始める。残薬の確認(実際に数える)、服薬の時刻と方法、薬の保管場所、飲み忘れたときの対応、副作用の自覚、費用の負担、そして本人が薬をどう理解しているかを聞く。そのうえで、原因に応じた工夫を選ぶ。飲み忘れが原因なら、一包化、服薬カレンダー、アラーム、生活の習慣と結びつける(食事、歯磨き、テレビ番組)。飲みにくさが原因なら、剤形の変更、とろみ、服薬ゼリー。多すぎることが原因なら、処方の見直し(医師と薬剤師に相談)。意図的な中断なら、その理由(副作用、効果を感じない、費用、薬への抵抗感)を聞いて対応する。独居では、誰も気づかないまま服薬が乱れることがあるため、訪問のたびに残薬を確認する習慣が有効になる。訪問薬剤管理指導を導入して、薬剤師が定期的に関わる体制をつくることもできる。
間違えやすい考え方
『対応』を問う型で、誤肢がすべて原因を決めつけた先回りである。事実の確認が先という順序で切る。
5分で振り返る
①夕方の薬だけ減っている理由は複数考えられる(飲み忘れ、時間帯の事情、まとめ飲み、意図的な中断)。②原因により対応が全く異なるため、まず本人に実態を聞く。③認知機能の低下がないなら本人から正確な情報を得られる。④嚥下機能の低下がないのに服薬ゼリーを勧めるのは原因に合わない。⑤必要性の説明も、支援の導入も、原因が分かってから。⑥把握すべきは残薬、時刻、方法、保管場所、副作用、費用、本人の理解。⑦独居では訪問のたびに残薬を確認する。
1分チェック
- 服薬が乱れているとき、まず何をするか。→ どの薬を何時に飲んでいるかを本人に聞く(実態の確認)。
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