尿量の調節に深く関わるホルモンはどれか。
公式正答:5
解説
尿量の調節に深く関わるホルモンを問う。バソプレシンである。
この問題で問われていること
各ホルモンの作用する器官と機能を対応づけられるか。
しくみから理解する
バソプレシン(抗利尿ホルモン)は、視床下部の視索上核と室傍核で産生され、下垂体後葉から分泌される。腎の集合管に作用してV2受容体に結合し、アクアポリン2という水チャネルを管腔側の細胞膜へ移動させることで、水の再吸収を促す。その結果、尿は濃縮されて尿量が減る。血漿浸透圧の上昇や循環血液量の減少が刺激となって分泌が増え、逆に水分を多く摂れば分泌が減って尿量が増える。名称の「抗利尿」がそのまま作用を表している。
選択肢ごとの確認
ガストリンは胃の幽門前庭部のG細胞から分泌され、胃酸の分泌を促進する。消化管ホルモンであり、尿量とは関わらない。
カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞から分泌され、破骨細胞の活動を抑えて血中カルシウム濃度を下げる。パラソルモンと拮抗する。
グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌され、肝でのグリコーゲン分解と糖新生を促して血糖を上げる。インスリンと拮抗する。
ソマトスタチンは、視床下部、膵臓のδ細胞、消化管から分泌され、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン、ガストリンといった多くのホルモンの分泌を抑制する。抑制性のホルモンとして働くが、尿量の調節が主たる作用ではない。
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混同しやすいポイント
ホルモンを、分泌する器官と標的、作用でまとめて覚える。誤肢はそれぞれ、消化管(ガストリン)、甲状腺(カルシトニン)、膵臓(グルカゴン)、複数の器官(ソマトスタチン)に属し、いずれも尿量とは関わらない。尿量に関わるホルモンとしては、バソプレシンのほか、アルドステロン(ナトリウムと水の再吸収を促す)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ナトリウムの排泄を促し尿量を増やす)がある。
理解を深める
バソプレシンの異常は、2つの方向で問題を起こす。分泌または作用の不足では尿崩症となり、大量の希釈尿(1日3L以上、尿比重1.005前後、尿浸透圧300mOsm/kg未満)が出て、口渇と多飲を伴う。中枢性(下垂体からの分泌不足)と腎性(腎の反応性の低下)があり、鑑別には水制限試験とバソプレシン負荷試験を用いるが、脱水を招きうるため専門医の管理下で行う。治療は型により異なる。中枢性ではデスモプレシンを補充する。腎性ではバソプレシンの作用に反応しないためデスモプレシンは無効で、原因(薬剤、電解質異常、遺伝性)への対応と、サイアザイド系利尿薬などによる管理を行う。逆に、分泌が過剰になるのが抗利尿ホルモン不適合分泌症候群で、水が再吸収されすぎて低ナトリウム血症と体液の貯留をきたす。悪性腫瘍(とくに肺小細胞癌)による異所性分泌、中枢神経疾患、肺疾患、薬剤が原因になる。症状は、倦怠感、悪心、頭痛、意識障害、けいれんで、治療は水分制限が基本になる。看護では、水分出納の正確な記録、体重、尿量と尿比重、血清ナトリウム、意識レベルの観察が中心になる。
間違えやすい考え方
ホルモンの作用を問う型で、誤肢が別の器官のホルモンである。分泌器官と標的の対応で切る。
5分で振り返る
①バソプレシンは視床下部で産生され下垂体後葉から分泌、集合管のアクアポリン2を介して水を再吸収する。②血漿浸透圧の上昇と循環血液量の減少で分泌が増える。③不足すると尿崩症(希釈尿、口渇、多飲)、過剰だと抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(低ナトリウム血症)。④ガストリンは胃酸分泌、カルシトニンは血中カルシウムの低下、グルカゴンは血糖上昇、ソマトスタチンは多くのホルモンを抑制。⑤アルドステロンと心房性ナトリウム利尿ペプチドも尿量に関わる。
1分チェック
- 尿量を調節するホルモンは。→ バソプレシン(抗利尿ホルモン、集合管で水を再吸収する)。
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