止血後の線維素溶解(線溶)に関係するのはどれか。
公式正答:3
解説
できあがった血栓を溶かすのが線溶系。その主役がプラスミノゲンから生じるプラスミン。
この問題で問われていること
凝固系と線溶系を分けられるか。選択肢のうち4つは凝固を進める側で、線溶側は1つだけ。
しくみから理解する
血管の損傷が修復されると、いつまでも血栓が残っていては血流の妨げになるため、フィブリンを分解する仕組みが働く。これが線溶(線維素溶解)である。血漿中のプラスミノゲンが、組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)などによって活性化されてプラスミンになり、フィブリンを分解する。分解産物がフィブリン分解産物(FDP)で、そのうち安定化フィブリン由来のものがDダイマー。Dダイマーは架橋された安定化フィブリンに由来するため、その上昇は体内のどこかで血栓ができて溶けていることを示し、深部静脈血栓症や播種性血管内凝固症候群(DIC)の指標に使われる。一方、FDPにはフィブリノゲンそのものが分解されて生じたもの(一次線溶によるもの)も含まれるため、血栓が形成されていなくても増えうる。FDP単独の上昇を、血栓形成の証拠として扱わない。
選択肢ごとの確認
第IV因子として凝固カスケードの多くの段階に必要。凝固を進める側。採血管にクエン酸ナトリウムを入れるとカルシウムが結合して凝固が止まるのは、この必要性を利用している。
第I因子。フィブリンの材料であって、溶かす側ではなく作られる側。
活性化してプラスミンになり、フィブリンを分解する。線溶系の中心。
第II因子。トロンビンの前駆物質で、凝固を進める側。
血小板の顆粒に含まれ、放出されると血管を収縮させて止血を助ける。これも止血を進める側。
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混同しやすいポイント
「止血後の」という設問の限定を読み飛ばすと、止血を進める物質を選んでしまう。止血が終わったあとに何が起こるかを問うている。凝固と線溶は同じ場所で向きが逆に働く一対の系である。
理解を深める
この理解が急性期の治療に直結する。脳梗塞や心筋梗塞の超急性期にt-PAを投与するのは、線溶系を人為的に強めて血栓を溶かすため。時間の制限(脳梗塞では発症4.5時間以内など)が厳しいのは、時間が経つと血栓が固くなり、また出血のリスクが上がるからである。逆に線溶が過剰に働いてしまうのがDICの一部の病態で、凝固と線溶が同時に亢進して血栓と出血が併存する。トラネキサム酸は線溶を抑える薬で、出血を止める方向に働く。
間違えやすい考え方
1つの系(止血)のなかで向きが逆の物質を混ぜる型。設問の時間的限定(止血後の)が方向を決めている。
5分で振り返る
線溶=できたフィブリンを分解する仕組み。プラスミノゲンがt-PAなどで活性化されてプラスミンになり、フィブリンを分解する。分解産物がFDP、うち架橋された安定化フィブリン由来がDダイマーで、血栓症やDICの指標になる。FDPにはフィブリノゲン自体の分解によるものも含まれるため、FDP単独の上昇は血栓形成を意味しない。凝固側はフィブリノゲン(I)・プロトロンビン(II)・組織因子(III)・カルシウム(IV)、血小板から出るセロトニンは血管収縮で止血を助ける。t-PAは線溶を強める薬、トラネキサム酸は線溶を抑える薬。
1分チェック
- 線溶の中心となる物質は何か
- プラスミノゲンを活性化するのは何か
- FDPとDダイマーは何を示すか
- 凝固を進める物質を3つ挙げられるか
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