体内で代謝された結果、胆汁酸として胆汁中に分泌されるのはどれか。
公式正答:5
解説
体内で代謝された結果、胆汁酸として胆汁中に分泌されるものを問う。コレステロールである。
この問題で問われていること
物質の代謝経路と、最終的な排泄の形を追えるか。
しくみから理解する
コレステロールは、肝臓で代謝されて胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸)に変えられ、胆汁中へ分泌される。胆汁酸は、脂肪を乳化してリパーゼによる分解を助け、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収を促す。役目を終えた胆汁酸の大部分は回腸で再吸収されて肝臓に戻り、再利用される(腸肝循環)。この経路は、体内のコレステロールを排泄する主要な道筋でもあり、胆汁酸の再吸収を妨げる薬剤(陰イオン交換樹脂)が脂質異常症の治療に用いられるのは、この仕組みによる。
選択肢ごとの確認
DNAは、分解されるとプリン体とピリミジンを生じる。プリン体は最終的に尿酸となって腎から排泄される。胆汁酸にはならない。
RNAも同様に、分解されてプリン体を経て尿酸になる。
グリコーゲンは、肝と筋に貯蔵される多糖で、分解されてグルコースになる。エネルギー源として利用され、胆汁酸とは無関係になる。
ヘモグロビンは、赤血球の崩壊に伴って分解され、ヘムの部分がビリルビンになる。ビリルビンは肝でグルクロン酸抱合を受けて胆汁中へ排泄される。つまり、胆汁の成分にはなるが、胆汁「酸」ではない。胆汁の主な成分は、胆汁酸、ビリルビン、コレステロール、リン脂質、電解質で、それぞれ由来が異なる。この区別が、選択肢4を落とす鍵になる。
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混同しやすいポイント
選択肢4のヘモグロビンが最も紛らわしい。ヘモグロビン→ビリルビン→胆汁中へ、という経路は正しいが、生じるのはビリルビンであって胆汁酸ではない。胆汁の成分ごとに由来を整理する。胆汁酸=コレステロール由来、ビリルビン=ヘモグロビン由来、コレステロールとリン脂質=そのまま分泌。問われているのが「胆汁酸」であることを読み落とさないようにする。
理解を深める
この経路は、いくつかの病態の理解につながる。胆汁の流出が妨げられると(閉塞性黄疸)、ビリルビンが血中に増えて黄疸となり、便は胆汁色素を失って灰白色になり、尿は抱合型ビリルビンが排泄されて褐色になる。同時に、胆汁酸が腸へ届かないため脂肪の消化が障害され、脂肪便と脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収障害を生じる。ビタミンKの不足は凝固因子の産生を妨げ、出血傾向を招く。また、血中に増えた胆汁酸が皮膚を刺激して強い掻痒を生じる。胆石は、胆汁中のコレステロールが過飽和になって析出したもの(コレステロール結石)が多く、肥満、急激な減量、女性、加齢、妊娠が危険因子になる。ビリルビンを主成分とする色素結石は、溶血や胆道感染に伴って生じる。胆汁の成分と由来を理解しておくと、これらの病態が一本の線でつながる。
間違えやすい考え方
代謝経路を問う型で、誤肢に胆汁の別の成分の由来(ヘモグロビン)が含まれる。胆汁酸とビリルビンの区別で切る。
5分で振り返る
①コレステロールは肝で胆汁酸に代謝され胆汁中へ分泌される。②胆汁酸は脂肪を乳化し、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収を助ける。③大部分は回腸で再吸収され肝へ戻る(腸肝循環)。④ヘモグロビンはビリルビンになる(胆汁の成分だが胆汁酸ではない)。⑤DNAとRNAは尿酸へ、グリコーゲンはグルコースへ。⑥閉塞性黄疸では灰白色便、褐色尿、脂肪便、脂溶性ビタミンの吸収障害、掻痒。⑦コレステロール結石が最も多い。
1分チェック
- 胆汁酸は何から作られるか。→ コレステロール(肝で代謝され胆汁中へ、腸肝循環で再利用)。
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