直腸の構造で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
直腸の構造で正しいものを問う。陰窩には杯細胞が存在することである。
この問題で問われていること
大腸の組織構造を、小腸との違いとともに説明できるか。
しくみから理解する
大腸(直腸を含む)の粘膜には、腸陰窩(リーベルキューン腺)と呼ばれる管状の陥入があり、その上皮には粘液を分泌する杯細胞が多数存在する。大腸では、水分が吸収されて内容物が固くなるため、粘液による滑りが必要になり、杯細胞が小腸より豊富に分布する。直腸も大腸の一部であり、この構造を持つ。粘液は、便の通過を滑らかにし、粘膜を保護する役割を担う。
選択肢ごとの確認
粘膜の表面に絨毛があるのは小腸になる。小腸では、栄養素の吸収のために表面積を増やす必要があり、輪状ヒダ、絨毛、微絨毛という三段階の構造で表面積を拡大している。大腸には絨毛がなく、平坦な粘膜面に陰窩が開いている。この違いが、小腸と大腸を組織像で区別する決め手になる。
結腸ヒモを作るのは結腸であり、直腸にはない。結腸では、縦走筋が3本の帯状に集まって結腸ヒモを形成し、これが結腸膨起(ハウストラ)を作る。直腸では縦走筋が全周に均等に分布するため、結腸ヒモも膨起もない。この点も、直腸と結腸を区別する構造上の特徴になる。
肛門管は血管が少ないのではなく豊富になる。粘膜下に静脈叢(内痔静脈叢と外痔静脈叢)が発達しており、これが排便時の閉鎖と、便やガスの識別に関わる。この静脈叢がうっ血して腫大したものが痔核になる。
肛門管の内腔は広いのではなく狭い。内肛門括約筋(平滑筋、不随意)と外肛門括約筋(横紋筋、随意)に囲まれ、通常は閉じている。排便時にのみ弛緩して開く。
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混同しやすいポイント
小腸と大腸、結腸と直腸の違いを整理する。小腸=絨毛あり、栄養素の吸収が主。大腸=絨毛なし、陰窩と杯細胞が発達、水分の吸収と便の形成。結腸=結腸ヒモと膨起がある。直腸=結腸ヒモも膨起もない、便の貯留と排便に関わる。肛門管=静脈叢が豊富、内外の括約筋で閉じている。誤肢はそれぞれ、小腸の特徴、結腸の特徴、そして肛門管について逆の記述になっている。
理解を深める
直腸と肛門の構造は、排便の仕組みを理解する基礎になる。便が直腸に達すると、直腸壁の伸展受容器が刺激され、その情報が仙髄の排便中枢と大脳皮質へ伝わって便意が生じる。同時に反射的に内肛門括約筋が弛緩する(直腸肛門抑制反射)。排便に適した状況であれば、大脳からの指令で外肛門括約筋と恥骨直腸筋を弛緩させ、腹圧をかけて排便する。適さない状況では、外肛門括約筋を随意に収縮させて我慢できる。この随意的な制御ができるのは、外肛門括約筋が横紋筋で、陰部神経(体性神経)に支配されているためになる。便意を我慢し続けると、直腸の感受性が低下して便意を感じにくくなり、便秘の一因になる。この生理から、便意があったら我慢しない、朝食後の胃結腸反射を利用する、排便に適した姿勢(前傾、足台)をとる、といった指導が導かれる。
間違えやすい考え方
組織構造を問う型で、誤肢が小腸・結腸の特徴と肛門管について逆の記述である。部位ごとの違いで切る。
5分で振り返る
①大腸(直腸を含む)の粘膜には腸陰窩があり、杯細胞が多く粘液を分泌する。②絨毛は小腸にあり大腸にはない。③結腸ヒモと膨起は結腸の特徴で、直腸にはない。④肛門管は静脈叢が豊富(うっ血すると痔核)。⑤肛門管の内腔は狭く、内外の括約筋で閉じている。⑥内肛門括約筋は平滑筋で不随意、外肛門括約筋は横紋筋で随意(陰部神経支配)。⑦便意を我慢し続けると直腸の感受性が低下する。
1分チェック
- 直腸の粘膜の特徴は。→ 陰窩に杯細胞が多い(絨毛はない、結腸ヒモもない)。
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