もやもや病〈moyamoya disease〉に ついて正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
もやもや病について正しいものを問う。代償性の側副血行路が形成されることである。
この問題で問われていること
疾患名の由来となった画像所見の意味を説明できるか。
しくみから理解する
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、内頸動脈の終末部が進行性に狭窄・閉塞し、それを補うために脳底部に異常な細い血管網が発達する疾患である。この血管網が、脳血管撮影で煙が立ちのぼるように「もやもや」と見えることから命名された。つまり、もやもや血管は代償性に形成された側副血行路であり、この点が疾患の本質になる。両側性が典型で診断基準の中心にあるが、基準の改訂により、一側性の病変も一定の条件のもとで確定診断に含まれるようになっている。原因は不明で、遺伝的な背景(RNF213遺伝子)が関与するとされ、東アジアに多い。
選択肢ごとの確認
脳動静脈奇形は別の疾患である。動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながる先天的な血管の異常で、くも膜下出血や脳出血、けいれんの原因になる。もやもや病は、血管の閉塞と側副血行路の形成であり、機序が異なる。
狭窄が起こるのは浅側頭動脈ではなく内頸動脈の終末部になる。浅側頭動脈は、外頸動脈の枝で頭皮を養う血管であり、もやもや病の外科治療(バイパス術)では、この血管を中大脳動脈につなぐドナーとして用いられる。狭窄する血管ではなく、治療に使う血管である点が紛らわしい。
ポリオウイルスの感染は関与しない。ポリオウイルスは急性灰白髄炎(ポリオ)の原因で、脊髄前角細胞を侵して弛緩性麻痺を起こす。
血栓閉塞ではない。もやもや病では、血栓が詰まるのではなく、血管壁の内膜が肥厚して内腔が徐々に狭くなっていく。したがって、抗凝固療法で解決する病態ではない。
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混同しやすいポイント
疾患名の由来(もやもやと見える血管網=側副血行路)を理解していれば、正答が選べる。誤肢は、別の疾患(脳動静脈奇形)、治療に使う血管(浅側頭動脈)、無関係な病原体、そして機序の誤り(血栓)で構成されている。とくに選択肢2は、疾患に関連する血管名であるだけに紛らわしい。
理解を深める
もやもや病は、小児と成人で症状が異なる。小児では、脳虚血による症状が主体で、泣く、笛を吹く、熱いものを吹いて冷ますといった過呼吸をきっかけに、一過性の脱力発作が起こる(過呼吸により二酸化炭素が減り脳血管が収縮するため)。てんかん発作、頭痛、知的発達への影響もみられる。成人では、脆弱なもやもや血管が破綻して脳出血をきたすことが多く、これが予後を左右する。治療は、外科的な血行再建術で、直接バイパス(浅側頭動脈と中大脳動脈の吻合)と間接バイパス(側頭筋や硬膜を脳表に接触させて血管の新生を促す)がある。小児では間接バイパスが、成人では直接バイパスが選ばれることが多い。看護では、小児では過呼吸を誘発する場面(大泣き、ハーモニカ、熱い食べ物を吹く、激しい運動)を避けるよう家族に伝える。脱水も虚血を招くため、十分な水分摂取を勧める。指定難病であり、医療費助成の対象になる。
間違えやすい考え方
疾患の特徴を問う型で、誤肢が別疾患・治療に使う血管・機序の誤りである。疾患名の由来で切る。
5分で振り返る
①もやもや病=内頸動脈終末部の進行性の狭窄と、脳底部の異常血管網(側副血行路)の形成。両側性が典型だが、基準の改訂により一側性も一定の条件で診断に含まれる。②血管撮影でもやもやと見えることが名称の由来。③浅側頭動脈は狭窄する血管ではなく、バイパス術のドナーとして使う。④血栓閉塞ではなく内膜の肥厚による狭窄。⑤小児は過呼吸を契機とする一過性脱力発作、成人は脳出血が多い。⑥治療は直接・間接のバイパス術。⑦小児では過呼吸を誘発する場面を避け、脱水を防ぐ。指定難病。
1分チェック
- もやもや病のもやもや血管とは。→ 内頸動脈終末部の狭窄を補う代償性の側副血行路。
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