短期記憶と関係が深いのはどれか。
公式正答:2
解説
海馬は、短期記憶を長期記憶へ移し替える作業をしている部位。ここが障害されると新しいことを覚えられなくなる。
この問題で問われていること
記憶に関わる部位を、他の脳の部位と区別できるか。選択肢は生命維持・内分泌・伝導路といった別系統の部位で構成されている。
しくみから理解する
海馬は側頭葉内側にあり、大脳辺縁系の一部をなす。感覚として入ってきた情報は、まず数秒から数分だけ保たれる短期記憶として置かれ、繰り返しや情動の関与によって長期記憶へ固定される。この固定の作業に海馬が必要になる。海馬が両側で障害されると、障害以前の記憶は保たれるのに新しい記憶を作れなくなる(前向性健忘)。アルツハイマー型認知症で早期から近時記憶が障害されるのは、海馬とその周辺から病変が始まるため。 【接地元】ガイトン生理学 第58章 大脳皮質、脳の知的機能、学習と記憶、第59章 大脳辺縁系と視床下部
選択肢ごとの確認
脳幹の一部で、呼吸調節中枢や角膜反射の中枢がある。小脳との連絡路(中小脳脚)も通る。記憶には関与しない。
短期記憶を長期記憶へ固定する働きを担う。大脳辺縁系の一部。
伝導路と脊髄反射の場。記憶の座ではない。
メラトニンを分泌して概日リズムを調節する内分泌器官。
体温・摂食・飲水・性行動・自律神経・下垂体前葉ホルモンの調節中枢。情動には関わるが、記憶の固定そのものは海馬の担当。
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混同しやすいポイント
大脳辺縁系という括りのなかで、海馬(記憶)と扁桃体(情動、特に恐怖)と視床下部(自律神経と内分泌)の担当を混ぜやすい。「覚える=海馬、感じる=扁桃体、体を調節する=視床下部」で分ける。
理解を深める
記憶は保持時間で短期・長期に分け、内容で陳述記憶(言葉にできる)と非陳述記憶(手続き記憶など体で覚えるもの)に分ける。海馬が関わるのは主に陳述記憶で、自転車の乗り方のような手続き記憶は大脳基底核と小脳が担う。だから海馬を失っても、新しい運動技能は習得できることがある。認知症のケアで「昔のことは覚えているのに、さっきのことを忘れる」という訴えが出るのは、この構造の反映として理解できる。
間違えやすい考え方
脳の部位名を並べて機能を問う型では、選択肢の系統がばらばらであることが多い(脳幹・辺縁系・脊髄・内分泌)。部位ごとに1行の機能を言えるようにしておけば消去法で解ける。
5分で振り返る
海馬は側頭葉内側にある大脳辺縁系の一部で、短期記憶を長期記憶へ固定する。両側の障害で前向性健忘(新しいことを覚えられない)。アルツハイマー型認知症は海馬周辺から始まるため近時記憶から障害される。陳述記憶は海馬、手続き記憶は大脳基底核と小脳。扁桃体は情動(特に恐怖)、視床下部は体温・摂食・自律神経・内分泌。
1分チェック
- 短期記憶を長期記憶に固定するのはどこか
- 海馬が両側で障害されると何が起こるか
- 手続き記憶に関わるのはどこか
- 扁桃体の役割は何か
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