成人の気管内吸引の方法で適切なのはどれか。2つ選べ。
公式正答:1・4
解説
成人の気管内吸引の方法で適切なものを2つ問う。実施前に咽頭部の分泌物を吸引することと、カテーテルは気管分岐部にあたらないように挿入することである。
この問題で問われていること
手技の各段階の目的と、安全の基準を把握しているか。
しくみから理解する
気管内吸引の前に咽頭部(カフの上に溜まった分泌物を含む)を吸引するのは、気管チューブのカフの周囲や口腔・咽頭に溜まった分泌物が、吸引の操作や体位の変化に伴って下気道へ流れ込むことを防ぐためになる。この誤嚥が、人工呼吸器関連肺炎の重要な原因になる。カテーテルの挿入については、気管分岐部に当てると、粘膜を損傷し、咳嗽反射と迷走神経反射を強く誘発する。したがって、気管チューブの先端からわずかに出る程度、分岐部に当たらない深さにとどめる。
選択肢ごとの確認
吸引圧40kPa(300mmHg)は高すぎる。成人では20kPa(150mmHg)程度を超えないよう調整する。高すぎる陰圧は、粘膜の損傷、出血、無気肺(肺胞内の空気まで吸い出す)を招く。
気管チューブと同じ内径のカテーテルでは太すぎる。カテーテルの外径が、気管チューブの内径の2分の1以下になるものを選ぶ。太すぎると、吸引中に空気の通り道が塞がれ、換気ができなくなって低酸素と無気肺を招く。
挿入開始から終了まで30秒は長すぎる。吸引による陰圧をかけている時間は10〜15秒以内、一連の操作も短時間で終えるのが原則になる。長い吸引は、低酸素血症、徐脈、不整脈、頭蓋内圧の上昇を招く。
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混同しやすいポイント
誤肢3つは、いずれも「過剰」という共通点を持つ。圧が高すぎる、カテーテルが太すぎる、時間が長すぎる。吸引は、必要最小限の圧、細さ、時間で行うのが原則になる。数値を3つ覚える。圧は20kPa(150mmHg)以下、カテーテルは気管チューブ内径の2分の1以下、時間は10〜15秒以内。
理解を深める
気管内吸引は、必要なときにのみ実施する。定時に機械的に行うのではなく、副雑音の聴取、視覚的な分泌物の確認、患者の咳嗽、換気量の低下、酸素飽和度の低下、人工呼吸器の気道内圧の上昇といった、吸引が必要であることを示す所見に基づいて判断する。不要な吸引は、粘膜の損傷、感染、低酸素、循環の変動、そして患者の苦痛をもたらす。実施の前後には、呼吸状態、酸素飽和度、心拍数、血圧を確認する。必要に応じて事前に酸素濃度を上げる(前酸素化)。カテーテルを挿入する際は陰圧をかけず、引き抜きながら陰圧をかける。1回で終わらない場合は、間に呼吸を整える時間を置いてから繰り返す。閉鎖式吸引システムを用いれば、人工呼吸器から外さずに吸引でき、換気の中断と環境への汚染を減らせる。分泌物の量、性状、色、においを観察し、記録する。吸引は苦痛を伴う処置であり、説明と声かけ、そして手早く終えることが患者への配慮になる。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢がすべて過剰な設定である。必要最小限という原則と3つの数値で切る。
5分で振り返る
①実施前に咽頭部(カフ上)の分泌物を吸引し、下気道への流入を防ぐ。②カテーテルは気管分岐部に当てない(粘膜損傷と迷走神経反射)。③吸引圧は20kPa(150mmHg)以下。④カテーテルの外径は気管チューブ内径の2分の1以下。⑤陰圧をかける時間は10〜15秒以内。⑥挿入時は陰圧をかけず、引き抜きながらかける。⑦定時ではなく、副雑音・分泌物・酸素飽和度の低下といった所見に基づいて実施する。
1分チェック
- 気管内吸引の基準は。→ 圧20kPa以下、カテーテルは内径の2分の1以下、10〜15秒以内。
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