インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。
公式正答:2・4
解説
インシデントレポートについて適切なものを2つ問う。責任追及のためには使用されないことと、分析結果は他職種を含めて組織全体で共有することである。
この問題で問われていること
報告制度の目的を、責任追及との違いで理解しているか。
しくみから理解する
インシデントレポートの目的は、事象の背景にある要因を分析し、しくみを改善して、同じことが繰り返されるのを防ぐことにある。個人の責任を追及するために使えば、報告が減り、問題が見えなくなって、かえって危険が増す。したがって、報告した個人が不利益を受けない(非懲罰性)ことが制度の前提になる。また、分析の結果は、看護部門だけでなく、医師、薬剤師、臨床工学技士、事務部門を含めて共有する。多くの事象は、複数の職種と部門にまたがる要因から生じるため、組織全体で対策を立てる必要がある。
選択肢ごとの確認
法令で書式が統一されているわけではない。各施設が、自らの状況に応じて様式を定める。ただし、把握すべき項目(発生日時、場所、当事者の職種と経験年数、患者の情報、事象の内容、影響度、発見の経緯、その後の対応)は共通しており、国のデータベースへ報告する際の様式に準じることが多い。
1か月後ではなく、発生後速やかに提出する。時間が経つと記憶が曖昧になり、正確な情報が失われる。また、同じ事象が他で起こる可能性があるため、早期の共有が要る。
患者に実施される前に発見された事例(レベル0)も報告する。むしろ、実害が生じなかった事例こそ、同じ過程で次は実害に至りうる危険を示しており、対策を立てるための貴重な情報になる。ハインリッヒの法則が示すとおり、重大な事故の背後には多数の軽微な事象があり、その段階で対策を打つことが予防になる。
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混同しやすいポイント
誤肢3つは、報告を妨げる、あるいは遅らせる方向を向いている。書式の硬直、提出の遅れ、報告範囲の限定。制度の目的(しくみの改善)から考えれば、報告しやすく、早く、幅広く集めることが望ましいと分かる。この方向性を持っていれば、選択肢を判断できる。
理解を深める
報告された事象は、影響度レベル(0から5)で分類され、分析される。分析の手法としては、根本原因分析(なぜを繰り返して背景要因に迫る)、SHELモデル(ソフトウェア、ハードウェア、環境、当事者、他者という要因で捉える)、4M4E(人、機械、方法、管理という要因と、教育、技術、強化、事例という対策)がある。いずれも、個人の注意力に帰さず、しくみの要因を探す点で共通する。「確認不足だった」で終わらせず、なぜ確認できなかったのか(表示が紛らわしい、手順が複雑、人員が不足、中断が多い、教育が不十分)まで掘り下げる。対策は、教育や注意喚起だけでなく、可能な限りしくみで防ぐ方向(薬剤の規格の統一、表示の改善、機器の設計、ダブルチェックの手順化、システムによる警告)を優先する。人は必ず間違えるという前提に立ち、間違えても患者に届かない仕組みを作ることが、医療安全の基本的な考え方になる。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢が報告を妨げる方向である。制度の目的(しくみの改善)で切る。
5分で振り返る
①目的は要因の分析としくみの改善であり、責任追及には使わない(非懲罰性)。②分析結果は他職種と部門を含めて組織全体で共有する。③書式は各施設が定める(法令で統一されていない)。④発生後速やかに提出する。⑤実害のなかった事例(レベル0)も報告する。⑥分析手法は根本原因分析、SHELモデル、4M4E。⑦対策は教育だけでなく、しくみで防ぐ方向を優先する。
1分チェック
- インシデントレポートの目的は。→ しくみの改善(責任追及には使わない)。組織全体で共有する。
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