次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(7歳、女児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に来院した。1か月前に扁桃炎〈tonsillitis〉に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎は抗菌薬を内服し軽快した。検査の結果、溶連菌感染後tonsillitispoststreptcoccal急性糸球体腎炎〈acuteglomerulonephritis〉と診断されて入院した。入院時、Aちゃんは体温36.6℃、呼吸数20/分、心拍数84/分、血圧130/80mmHgで、床上安静の指示が出された。
A ちゃんの入院時の看護計画で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
溶連菌感染後急性糸球体腎炎で入院した7歳女児(血圧130/80mmHg、床上安静の指示)の入院時の看護計画を問う。1日3回の血圧測定を行うことである。
この問題で問われていること
病態から、最も重要な観察項目を導けるか。
しくみから理解する
急性糸球体腎炎では、糸球体の炎症により濾過が障害され、ナトリウムと水が貯留する。その結果、循環血液量が増えて高血圧と浮腫を生じる。この事例では血圧130/80mmHgと、7歳としては明らかな高値になる(学童期の目安は収縮期110〜120mmHg程度)。高血圧が急激に進めば、高血圧性脳症(頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん)や心不全を招くため、血圧の推移を定期的に測定して把握することが、看護計画の中心になる。この事例では既に頭痛の訴えがあり、注意を要する状態にある。
選択肢ごとの確認
水分摂取を促すことは適切でない。ナトリウムと水が貯留している状態であり、水分を増やせば浮腫と高血圧が悪化する。急性期には、水分と塩分の制限が行われ、前日の尿量に不感蒸泄分を加えた量を目安に管理される。
食事の持ち込みを許可することは、この時期には適さない。急性期には、塩分(および状態により蛋白質とカリウム)の制限が必要で、病院食で管理される。持ち込みの食品は、塩分の量が把握できず、治療の妨げになる。
腰部への消炎鎮痛薬の貼用は不適切になる。非ステロイド性抗炎症薬は、腎の血流を保つプロスタグランジンの産生を抑えるため、腎機能を悪化させる。腎炎の患者には避けるべき薬剤であり、貼付剤でも経皮的に吸収される。
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混同しやすいポイント
誤肢3つは、いずれも病態を悪化させる方向になっている。水分を増やす(貯留を悪化)、塩分の管理を崩す(同上)、腎毒性のある薬剤を使う。急性糸球体腎炎の病態(濾過の障害による水とナトリウムの貯留)を理解していれば、すべて判断できる。血圧の測定という選択肢だけが、病態を悪化させず、かつ状態の把握に必要な対応になる。
理解を深める
溶連菌感染後急性糸球体腎炎は、A群β溶血性レンサ球菌による咽頭炎や皮膚感染の後、1〜3週間の潜伏期を経て発症する。免疫複合体が糸球体に沈着して炎症を起こすⅢ型アレルギーの機序による。症状は、血尿(コーラ色や褐色)、蛋白尿、浮腫(とくに眼瞼、朝に目立つ)、高血圧、乏尿、そして全身倦怠感になる。多くは予後良好で、数週間から数か月で自然に軽快する。治療は、安静、水分と塩分の制限、そして降圧薬と利尿薬による対症療法が中心で、腎炎そのものに対する特異的な治療はない(抗菌薬は残存する溶連菌の除去のために用いられる)。看護では、血圧、体重(毎日同じ条件で測定して体液量を評価する)、尿量と尿の性状、浮腫の程度、頭痛と嘔吐といった高血圧性脳症の徴候を観察する。学童期の子どもにとって、床上安静は苦痛であり、遊びと学習の機会を工夫して提供することも重要になる。急性期を過ぎれば安静と食事制限は段階的に解除される。
間違えやすい考え方
『適切な看護計画』を問う型で、誤肢がすべて病態を悪化させる方向である。水とナトリウムの貯留という病態で切る。
5分で振り返る
①急性糸球体腎炎では濾過の障害により水とナトリウムが貯留し、高血圧と浮腫を生じる。②高血圧が進めば高血圧性脳症(頭痛、嘔吐、意識障害、けいれん)と心不全を招く。③水分は制限する(前日尿量+不感蒸泄が目安)。④塩分制限のため食事の持ち込みは許可しない。⑤非ステロイド性抗炎症薬は腎血流を減らすため避ける(貼付剤も吸収される)。⑥溶連菌感染の1〜3週後に発症、多くは予後良好。⑦観察は血圧・体重・尿量と性状・浮腫・頭痛と嘔吐。
1分チェック
- 急性糸球体腎炎の看護の中心は。→ 血圧の定期的な測定(高血圧性脳症と心不全の予防)。
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