次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(7歳、女児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に来院した。1か月前に扁桃炎〈tonsillitis〉に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎は抗菌薬を内服し軽快した。検査の結果、溶連菌感染後tonsillitispoststreptcoccal急性糸球体腎炎〈acuteglomerulonephritis〉と診断されて入院した。入院時、Aちゃんは体温36.6℃、呼吸数20/分、心拍数84/分、血圧130/80mmHgで、床上安静の指示が出された。
入院して1週が経過した。症状は軽快傾向にあるが床上安静は続いている。仲が 良かった同じ病室の児が退院して、A ちゃんはイライラしている。A ちゃんの母 親は、毎日昼食後から夕食まで面会をしている。 A ちゃんのストレスに対する看護師の発言で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
床上安静が続き、仲の良かった同室児が退院してイライラしている7歳女児への、ストレスに対する看護師の発言を問う。「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」である。
この問題で問われていること
安静の指示を守りながら、子どもの遊びと交流を保つ方法を選べるか。
しくみから理解する
学童期の子どもにとって、遊びと仲間との交流は、成長発達に欠かせない活動になる。入院と床上安静は、この両方を奪い、退屈、孤立、そしてイライラといったストレスとして現れる。床上安静は「ベッドから降りない」ことであり、「ベッドごと動かない」ことではない。ベッドのままプレイルームへ移動すれば、安静を保ったまま、環境の変化、他の子どもとの交流、そして遊びの機会を得られる。制限の中でできることを見つけて提供するという、小児看護の基本の考え方になる。
選択肢ごとの確認
「すぐに退院できるから頑張ろう」は、根拠のない見通しを示すことになる。この時点で退院の時期は決まっておらず、実現しなければ信頼を損なう。また、いま感じているつらさを受け止めずに、我慢を求める発言になっている。
「好きなだけテレビや動画を観ていいよ」は、一時的に気を紛らわせるが、生活のリズムを崩し、睡眠にも影響する。また受け身の活動であり、交流や主体的な遊びの代わりにはならない。制限のない使用を許すことは、退院後の生活習慣にも影響する。
「夕食後もお母さんに付き添ってもらおう」は、母親の負担を増やすことになる。母親は既に毎日昼食後から夕食まで面会しており、それ以上を求めることは家族の生活を圧迫する。またこの年齢の子どものストレスへの対応は、母親の付き添いの延長だけでは足りず、同年代との交流と遊びが必要になる。
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混同しやすいポイント
『安静の指示があるからプレイルームには行けない』と考えると、選択肢3を除外してしまう。しかし床上安静は移動そのものの禁止ではなく、ベッドごと移動すれば守られる。制限を額面どおりに広く解釈して、できることまで奪わないという視点が要点になる。誤肢は、根拠のない励まし、受け身の活動、そして家族への負担の増加になっている。
理解を深める
入院した子どものストレスは、年齢によって異なる形で現れる。乳児期=分離不安、泣き、後追い。幼児期=退行(おねしょ、指しゃぶり、赤ちゃん返り)、かんしゃく、処置への恐怖。学童期=退屈、学業の遅れへの不安、仲間からの孤立、イライラ、自尊心の低下。思春期=プライバシーの喪失、ボディイメージの変化、進路への不安、自立の妨げ。それぞれに応じた対応が要る。学童期では、遊びと学習の機会の確保(プレイルーム、院内学級、訪問学級)、同年代との交流、自分で選べる場面をつくること(何をするか、いつするかを本人に決めてもらう)、そして病状と見通しを年齢に応じて説明することが挙げられる。プレパレーションは処置の前だけでなく、療養の全体に及ぶ考え方になる。また、退院した同室児との別れは、子どもにとって喪失の体験になる。その気持ちを言葉にできるよう聞くことも、対応の一つになる。
間違えやすい考え方
『適切な発言』を問う型で、誤肢が根拠のない励まし・受け身の活動・家族への負担である。制限の中でできることを探す。
5分で振り返る
①学童期の子どもには遊びと仲間との交流が発達に必要。②床上安静は「ベッドから降りない」ことで、ベッドごとの移動は可能。③制限の中でできることを探すのが小児看護の基本。④根拠のない見通し(すぐ退院できる)は信頼を損なう。⑤テレビと動画の無制限は生活リズムを崩し受け身の活動にとどまる。⑥母親の付き添いの延長は家族の負担を増やす。⑦学童期のストレスは退屈、学業の不安、孤立、イライラ、自尊心の低下として現れる。
1分チェック
- 床上安静中の学童のストレスには。→ ベッドのままプレイルームへ(安静を保ちつつ遊びと交流を確保)。
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