高齢者の転倒予防のための環境づくりで適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
高齢者の転倒予防のための環境づくりで適切なものを問う。廊下に手すりをつけることである。
この問題で問われていること
転倒の要因を環境の側から捉え、危険を減らす工夫を選べるか。
しくみから理解する
加齢により下肢筋力とバランス能力が低下し、視力も落ちるため、わずかな段差や不安定な足場でも転倒しやすくなる。手すりは、移動中に確実に握れる支持点を提供し、バランスを崩したときに立て直す助けになる。廊下は移動の主要な動線で、夜間のトイレ移動でも使われるため、ここに手すりを設けることは効果が大きい。設置は介護保険の住宅改修の対象にもなる。
選択肢ごとの確認
マットは端がめくれてつまずきの原因になり、また滑って足元が不安定になる。とくに玄関は段差があり靴の着脱で片足立ちになる場所で、危険が重なる。敷くなら滑り止め付きで縁のないものを選ぶが、なくすほうが安全である。
逆である。暗さは段差や障害物を見えなくし、転倒の主要な要因になる。夜間は足元灯を点けておく。高齢者は暗順応(暗さに目が慣れること)に時間がかかるため、急に暗い場所へ入ると特に見えにくい。
座ろうとしたときや立ち上がるときに椅子が動き、転倒の原因になる。高齢者が使う椅子は、動かず、肘掛けがあり、座面の高さが適切なものを選ぶ。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢はいずれも『便利にする』方向の工夫だが、転倒予防の観点では危険を増やす。判断の軸は『足元が安定するか』『動かないか』『見えるか』の3点である。マット・キャスター・消灯は、それぞれこの3点を損なう。
理解を深める
転倒予防は、環境(外的要因)と身体・薬剤(内的要因)の両面から行う。環境では、段差の解消、手すりの設置、照明、床材、履物、家具の配置、コード類の整理がある。内的要因では、下肢筋力とバランスの訓練、視力の確認、めまいの評価、薬剤の見直し(睡眠薬、抗不安薬、降圧薬、抗コリン薬)が挙げられる。高齢者の転倒は大腿骨近位部骨折につながり、それが寝たきりと生命予後の悪化を招くため、予防の意義が大きい。また一度転倒すると、転倒への恐怖から活動を控えるようになり、それがさらに筋力低下を招く悪循環(転倒後症候群)に注意する。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢がいずれも生活を便利にする発想で作られている。安全という一点で評価する。
5分で振り返る
①手すりは移動中の支持点、廊下と夜間の動線に有効。②マットはめくれ・滑りでつまずきの原因。③夜間は足元灯を点ける(消さない)。④キャスター付きの椅子は動いて危険。⑤内的要因(筋力・視力・薬剤)への対策も並行する。⑥転倒後症候群の悪循環に注意。
1分チェック
- 高齢者の転倒予防の環境づくりは何か。→ 手すりの設置(動線上に確実な支持点)。
この問題に対応する教材の確認中です。