胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。
公式正答:1
解説
胎児で最も酸素が多いのは、胎盤から戻ってきたばかりの臍静脈。ここが出発点で、以後は各所で静脈血と混ざって薄まっていく。
この問題で問われていること
胎児循環の酸素濃度の順序を追えるか。成人と違い、胎児には完全に動脈血だけが流れる場所がほとんどないことを理解しているか。
しくみから理解する
胎盤でガス交換を終えた血液は臍静脈を通って胎児へ入り、この時点が最も酸素飽和度が高い(およそ80%)。臍静脈の血液は肝臓を迂回する静脈管(アランチウス管)を通って下大静脈に合流し、ここで下半身からの静脈血と混ざって薄まる。右心房に入った血液の多くは卵円孔を通って左心房へ流れ、左心室から上行大動脈へ出て、脳と上肢へ比較的酸素の多い血液を送る。一方、上大静脈から戻った血液は右心室へ向かい、肺動脈へ出るが、肺が機能していないため大部分は動脈管(ボタロー管)を通って下行大動脈へ迂回する。したがって上半身のほうが下半身より酸素が多い。 【接地元】解剖学深掘り編(石川先生・胎児循環の解剖学)、人体の構造と機能 第5版 胎児循環
選択肢ごとの確認
胎盤でガス交換を終えた直後の血液が流れる。胎児循環のなかで最も酸素飽和度が高い。
胎児の全身を巡ったあとの血液で、胎盤へ向かう。酸素は最も少ない。
成人では最も酸素が多いが、胎児では肺が膨らんでおらずガス交換をしていないため、肺静脈を流れる血液の量も酸素量も少ない。成人の常識をそのまま持ち込むと引っかかる。
上大静脈からの静脈血が主体で酸素は少ない。しかもその大半は動脈管へ迂回する。
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混同しやすいポイント
「肺静脈=最も酸素が多い」という成人の知識をそのまま当てはめると3を選ぶ。胎児では肺がガス交換の場ではなく、胎盤がその役をしている。だから最も酸素の多い場所は胎盤の直後、つまり臍静脈になる。
理解を深める
胎児循環には3つの短絡(シャント)がある。静脈管(臍静脈→下大静脈・肝臓を迂回)、卵円孔(右心房→左心房・肺を迂回)、動脈管(肺動脈→大動脈・肺を迂回)。いずれも「肺と肝臓を通さずに済ませる」ための仕組みで、出生して肺呼吸が始まると不要になり閉じる。動脈管が閉じずに残ると動脈管開存症になり、大動脈から肺動脈へ血液が流れ込む左右短絡となって心不全や肺高血圧を招く。
間違えやすい考え方
成人の循環の知識をそのまま使うと誤る型。「胎児では肺ではなく胎盤が肺の役をしている」という一文を最初に置いてから選択肢を読む。
5分で振り返る
胎盤→臍静脈(酸素飽和度およそ80%・最高)→静脈管で肝臓を迂回→下大静脈で静脈血と混合→右心房→卵円孔で左心房へ→左心室→上行大動脈→脳と上肢(比較的酸素が多い)。上大静脈からの血液→右心室→肺動脈→動脈管で下行大動脈へ迂回→下半身と臍動脈→胎盤。短絡は静脈管・卵円孔・動脈管の3つ。
1分チェック
- 胎児で最も酸素が多い血液が流れるのはどこか
- 胎児の3つの短絡路を言えるか
- 胎児で上半身と下半身のどちらに酸素の多い血液が行くか
- 胎児の肺静脈の酸素が少ないのはなぜか
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