成人の食道の構造で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
成人の食道の構造で正しいものを問う。生理的狭窄部位があることである。
この問題で問われていること
食道の走行と組織構造を、他の消化管との違いを含めて把握しているか。
しくみから理解する
食道には3つの生理的狭窄部がある。第一が食道入口部(輪状軟骨の高さ)、第二が大動脈交叉部(気管分岐部で、大動脈弓と左主気管支に接する)、第三が横隔膜の食道裂孔部である。これらは周囲の構造に圧されて内腔が狭くなる場所で、誤って飲み込んだ異物が停留しやすく、また腐食性物質による損傷や癌の好発部位にもなる。食道は咽頭に続き、第10胸椎の高さで横隔膜の食道裂孔を通って腹腔に入り、噴門で胃につながる。
選択肢ごとの確認
食道が連なるのは胃の噴門である。幽門は胃の出口で十二指腸につながる部位であり、入口と出口を取り違えている。
逆である。食道の筋層は、上部1/3が骨格筋(横紋筋)、下部1/3が平滑筋、中間はその移行部になっている。ただし、随意的に行えるのは口腔期(舌と口腔の筋による)までで、咽頭期と食道期は反射により不随意に進む。食道上部が横紋筋であっても、その収縮は迷走神経を介した反射で制御されており、意識して動かせるものではない。
長すぎる。成人の食道の長さは約25cmである。45cmは、切歯から胃までのおおよその距離に近く、経鼻胃管の挿入長の目安(成人で45〜55cm程度)と混同しやすい。
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混同しやすいポイント
『食道の長さ25cm』と『胃管の挿入長45〜55cm』を区別する。後者は鼻孔から咽頭を経て胃に達する距離であり、食道そのものの長さより長い。また噴門と幽門の位置関係、上部が骨格筋であることの3点が、この設問の判別に必要な知識になる。
理解を深める
生理的狭窄部は臨床で重要な意味を持つ。食道癌はこの3か所、とくに大動脈交叉部(中部食道)に好発する。誤嚥や異物誤飲では、ここに停留して閉塞や穿孔を起こす。内視鏡や胃管の挿入では抵抗を感じる部位でもあり、無理に押し込まないことが穿孔の予防になる。また食道には漿膜がなく、周囲組織との境界が薄いため、癌が容易に周囲へ浸潤しやすい。食道静脈瘤は、門脈圧亢進により側副血行路として食道下部の静脈が拡張したもので、破裂すると大量吐血をきたす。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が部位の取り違え、方向の逆転、数値のずらしで作られている。25cmという長さと、上部が骨格筋という2点を確実にしておく。
5分で振り返る
①生理的狭窄は入口部・大動脈交叉部・横隔膜の食道裂孔部の3か所。②食道は噴門で胃につながる(幽門ではない)。③筋層は上部1/3が骨格筋、下部1/3が平滑筋。④長さは約25cm。⑤狭窄部は異物の停留と癌の好発部位。⑥漿膜がなく周囲へ浸潤しやすい。
1分チェック
- 食道の特徴は何か。→ 3つの生理的狭窄部がある(入口部・大動脈交叉部・食道裂孔部)。
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