下垂手の原因はどれか。
公式正答:3
解説
下垂手の原因を問う。橈骨神経麻痺である。
この問題で問われていること
上肢の末梢神経麻痺の特徴的な変形を、神経ごとに区別できるか。
しくみから理解する
橈骨神経は上腕骨の後面を螺旋状に走行し、前腕の伸筋群を支配する。この神経が麻痺すると、手関節と手指の伸展ができなくなり、手首が垂れ下がった状態になる。これが下垂手である。上腕骨骨幹部の骨折、腋窩の圧迫(松葉杖の使い方の誤り)、上腕を長時間圧迫する姿勢(腕枕、いわゆる土曜夜麻痺)が原因になる。知覚障害は手背の橈側、とくに母指と示指の間の背側に現れる。
選択肢ごとの確認
鷲手(わしで)を生じる。骨間筋と虫様筋が麻痺し、中手指節関節が過伸展、指節間関節が屈曲した形になる。知覚障害は小指と環指の尺側に現れる。肘部管症候群やギヨン管症候群で生じる。
猿手(さるて)を生じる。母指球筋が萎縮して母指の対立ができなくなり、手が平坦に見える。知覚障害は母指から環指橈側の手掌側に現れる。手根管症候群が代表的である。
下肢の神経であり、下垂足(foot drop)を生じる。足関節の背屈ができなくなる。上肢の下垂手とは部位が異なるが、『伸展ができなくなって垂れる』という点で構図が同じであり、対にして覚えると理解しやすい。
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混同しやすいポイント
上肢3神経の麻痺は、変形の名称と知覚領域をセットで覚える。橈骨神経=下垂手・手背橈側、正中神経=猿手・手掌の母指側、尺骨神経=鷲手・小指側。原因も対応させると、橈骨=上腕骨骨幹部骨折や圧迫、正中=手根管症候群、尺骨=肘部管症候群となる。
理解を深める
看護では、これらの麻痺を予防する視点が重要になる。橈骨神経麻痺は、手術時の体位や上肢の固定、長時間の同一体位、腋窩の圧迫(松葉杖の腋窩支持部に体重をかける使い方)で生じうる。血圧測定用のマンシェットを長時間巻いたままにすることも要因になる。予防としては、上肢を無理な肢位で固定しない、定期的に位置を変える、松葉杖は手で体重を支えるよう指導する、といった対応がある。発症した場合は、下垂手に対してコックアップスプリントを用い、関節可動域を保ちながら回復を待つ。
間違えやすい考え方
神経名と変形を対応させる型で、上肢3神経に下肢の1神経を混ぜている。部位(上肢か下肢か)でまず絞れる。
5分で振り返る
①橈骨神経麻痺=下垂手、手背橈側の知覚障害。②正中神経麻痺=猿手、手掌の母指側。③尺骨神経麻痺=鷲手、小指側。④腓骨神経麻痺=下垂足(下肢)。⑤橈骨神経麻痺は上腕の圧迫や上腕骨骨幹部骨折で生じる。⑥予防は肢位の管理と定期的な除圧。
1分チェック
- 下垂手の原因となる神経麻痺は何か。→ 橈骨神経麻痺。
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