前立腺肥大症〈prostatic hyperplasia〉患者の頻尿の原因はどれか。
公式正答:2
解説
前立腺肥大症の患者にみられる頻尿の原因を問う。残尿量の増加である。
この問題で問われていること
下部尿路閉塞がどのように頻尿を生じさせるかを機序で説明できるか。
しくみから理解する
前立腺は尿道を取り囲むように位置しており、肥大すると尿道が圧迫されて排尿の抵抗が増す。膀胱は残った尿を出し切れず、排尿後も膀胱内に尿が残る(残尿)。膀胱の容量は変わらないので、残尿がある分だけ新たに溜められる量が減り、少ない尿量で満たされて尿意が生じる。その結果、1回の排尿量が少なく回数が多い頻尿となる。夜間頻尿として自覚されることも多い。
選択肢ごとの確認
多尿は1日尿量が2,500mL以上に増える状態で、糖尿病、尿崩症、心因性多飲などで生じる。前立腺肥大症では1日尿量そのものは増えない。総量が同じで回数が増えるのが頻尿であり、総量が増える多尿とは機序が異なる。
膀胱炎などで膀胱粘膜が刺激され、少量でも強い尿意が起こる状態を指す。前立腺肥大症でも、長期の閉塞により膀胱が過活動になって切迫感を伴うことはあるが、頻尿の直接の原因としては残尿の増加が中心である。
膀胱結核、放射線性膀胱炎、間質性膀胱炎などで膀胱壁が線維化し、膀胱そのものが小さくなる状態である。前立腺肥大症では膀胱の構造的な容量は保たれており、残尿によって機能的に使える容量が減っている。この『器質的』と『機能的』の違いが判別の要点になる。
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混同しやすいポイント
『器質的容量の減少』と『残尿による機能的容量の減少』の区別が核心である。膀胱そのものが小さくなったのか、使える部分が減ったのかで原因疾患が変わる。前立腺肥大症は後者である。前立腺肥大による下部尿路の閉塞では、膀胱が収縮しても出しきれず残尿が増える。膀胱そのものの容量は変わらないのに、ためられる余地が残尿のぶん減るため、少し尿がたまっただけで尿意が起こり、排尿の回数が増える。閉塞が長く続けば膀胱の壁が肥厚して過活動を伴い、膀胱刺激症状が加わることもあるが、機序として最も直接的なのは残尿の増加である。
理解を深める
前立腺肥大症の症状は、排尿症状(尿勢低下、尿線途絶、腹圧排尿、排尿遅延)、蓄尿症状(頻尿、夜間頻尿、尿意切迫)、排尿後症状(残尿感、排尿後尿滴下)に分けられる。評価には国際前立腺症状スコア(IPSS)が用いられる。進行すると尿閉、水腎症、腎後性腎障害に至る。治療はα1遮断薬、5α還元酵素阻害薬などの薬物療法と、経尿道的前立腺切除術(TURP)がある。看護では、残尿測定(携帯型超音波が普及)、尿閉の徴候(下腹部の膨隆と強い尿意にもかかわらず排尿できない)、抗コリン薬など尿閉を誘発する薬剤の確認、水分摂取の指導(夕方以降を控えめに)が重要になる。
間違えやすい考え方
『頻尿の原因』を機序で問う型で、誤肢が別疾患の機序で構成されている。総量が増えるのか、使える容量が減るのか、という軸で整理する。
5分で振り返る
①前立腺が尿道を圧迫→排尿抵抗↑→残尿↑。②残尿の分だけ溜められる量が減り頻尿になる。③多尿は1日尿量が増える別の病態。④器質的容量減少は膀胱自体が小さくなる別疾患。⑤評価はIPSSと残尿測定。⑥抗コリン薬は尿閉を誘発する。
1分チェック
- 前立腺肥大症で頻尿になる理由は何か。→ 残尿が増え、新たに溜められる量が減るため。
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