尿中ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
公式正答:3
解説
尿中ケトン体が陽性になる疾患を問う。糖尿病である。
この問題で問われていること
ケトン体がどのような状況で産生されるかを代謝から説明できるか。
しくみから理解する
ケトン体は、脂肪酸がβ酸化されてアセチルCoAとなり、それが処理しきれずに肝臓で合成される代謝産物である。インスリンが不足すると、細胞がブドウ糖を利用できず、エネルギー源として脂肪の分解が亢進する。その結果ケトン体が大量に産生され、血中に増えて尿中へ排泄される。とくに1型糖尿病でインスリンが著しく不足した状態では、糖尿病ケトアシドーシスとなり、意識障害、深く大きい呼吸(クスマウル呼吸)、呼気の果実臭(アセトン臭)を伴う。飢餓や極端な糖質制限でも同じ機序でケトン体が増える。
選択肢ごとの確認
プリン体の代謝産物である尿酸が増える疾患であり、脂質代謝の亢進とは関係しない。検査では血清尿酸値が指標になる。
肝機能が低下する疾患で、尿ではビリルビンが陽性になることがある。ケトン体は肝臓で合成されるため、むしろ重篤な肝障害では産生が低下する方向に働く。
糸球体の障害により大量の蛋白が尿中へ漏れる疾患で、尿蛋白が強陽性となる。ケトン体とは無関係である。
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混同しやすいポイント
尿検査の項目と疾患の対応を整理する。尿糖=糖尿病(腎性糖尿もある)、尿蛋白=ネフローゼ症候群・糸球体腎炎、尿潜血=尿路結石・腎炎・腫瘍、尿ビリルビン=閉塞性黄疸・肝細胞性黄疸、尿ケトン体=糖尿病ケトアシドーシス・飢餓・嘔吐。名称が似ていても由来する代謝が違う。
理解を深める
糖尿病ケトアシドーシスは、著しい高血糖、代謝性アシドーシス、脱水を伴う救急疾患である。治療は、生理食塩液による輸液、少量のインスリン持続静注、電解質(とくにカリウム)の補正を並行して行う。インスリン投与によりカリウムが細胞内へ移動するため、投与前は高値でも急速に低下することがあり、血清カリウムのモニタリングが不可欠である。看護では、意識レベル、呼吸パターン、脱水徴候、尿量、血糖と電解質の推移を観察する。高浸透圧高血糖状態(主に2型糖尿病、著明な高血糖と脱水だがケトーシスは軽度)との区別も押さえる。
間違えやすい考え方
検査値と疾患の対応を問う型で、誤肢がいずれも尿検査で異常が出る疾患である。何が増えるのかを物質レベルで区別する。
5分で振り返る
①ケトン体は脂肪酸のβ酸化から肝臓で合成される。②インスリン不足で糖を使えず脂肪分解が亢進→ケトン体増加。③糖尿病ケトアシドーシスではクスマウル呼吸とアセトン臭。④飢餓・極端な糖質制限でも増える。⑤尿蛋白=ネフローゼ、尿ビリルビン=閉塞性黄疸。⑥治療中はカリウムの急低下に注意。
1分チェック
- 尿中ケトン体が陽性になるのはどんなときか。→ 糖尿病(インスリン不足で脂肪分解が亢進)。
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