骨盤底筋訓練が有効な尿失禁はどれか。
公式正答:4
解説
骨盤底筋訓練が有効な尿失禁を問う。腹圧性尿失禁である。
この問題で問われていること
尿失禁の型ごとの機序を理解し、それに対応する治療を選べるか。
しくみから理解する
腹圧性尿失禁は、咳、くしゃみ、笑い、重い物を持つといった腹圧の上昇時に、尿道を閉じる力が負けて尿が漏れる状態である。背景には、骨盤底筋群の脆弱化と尿道括約筋の機能低下がある。出産、加齢、肥満、閉経後のエストロゲン低下が要因になる。骨盤底筋訓練は、この弱くなった筋を随意的に収縮させて鍛えるもので、原因に直接働きかける治療になる。効果が現れるまで数週から3か月程度の継続が必要で、正しい筋を収縮できているかの確認が重要になる。
選択肢ごとの確認
膀胱に尿が過剰に溜まり、あふれ出るように漏れる状態である。前立腺肥大症や神経因性膀胱による下部尿路閉塞、排尿筋の収縮力低下が原因で、対応は閉塞の解除や導尿である。骨盤底筋を鍛えても排出できない状態は改善しない。
排尿機能そのものは保たれているが、運動障害や認知機能の低下によりトイレに間に合わない状態である。対応は環境調整(トイレを近くに、動線の確保、目印)、排尿誘導、衣類の工夫であり、筋の訓練ではない。
強い尿意が突然起こり、我慢できずに漏れる状態である。過活動膀胱が背景にあり、対応は抗コリン薬やβ3作動薬などの薬物療法と膀胱訓練(排尿を少しずつ我慢して間隔を延ばす)である。なお骨盤底筋訓練は切迫性にも補助的に用いられることがあるが、第一に対応するのは腹圧性である。
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混同しやすいポイント
尿失禁の4型は、機序と対応をセットで覚える。腹圧性=骨盤底筋の脆弱化=骨盤底筋訓練、切迫性=過活動膀胱=薬物と膀胱訓練、溢流性=閉塞や収縮力低下=閉塞解除と導尿、機能性=移動や認知の問題=環境調整。腹圧性と切迫性が併存する混合性尿失禁もあり、実際には両方への対応が要る。
理解を深める
骨盤底筋訓練の指導では、正しい筋を収縮できているかの確認が要点になる。腹圧をかける、殿筋や大腿の筋に力を入れる、息を止めるといった誤りが起こりやすい。肛門と腟を締め上げるイメージ、排尿を途中で止めるときの感覚(実際に排尿中に止める練習は勧めない)を手がかりに伝える。仰臥位で膝を立てた姿勢から始め、座位・立位へ進める。1日に数セット、数か月継続することを伝え、効果が出るまで時間がかかることをあらかじめ説明しておくと中断を防げる。排尿日誌をつけると変化が見えて動機づけになる。
間違えやすい考え方
『有効なのはどれか』型で、4肢すべてが実在する尿失禁の型である。機序と対応の対応表を持っていれば一択になる。
5分で振り返る
①腹圧性=腹圧上昇時に漏れる、骨盤底筋の脆弱化→骨盤底筋訓練。②切迫性=過活動膀胱→薬物と膀胱訓練。③溢流性=閉塞や収縮力低下→閉塞解除・導尿。④機能性=移動や認知の問題→環境調整。⑤混合性もある。⑥訓練は数週〜3か月の継続が要る。
1分チェック
- 骨盤底筋訓練が有効なのはどの尿失禁か。→ 腹圧性尿失禁。
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