胸管について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
胸管は体のリンパの大部分を集める最大のリンパ本幹。腹部の乳び槽から始まり、左の静脈角へ注ぐ。
この問題で問われていること
リンパ系の全体像。どこから始まり、どこへ注ぎ、体のどの範囲を担当するかを言えるか。動脈へ注ぐのか静脈へ注ぐのかも問われている。
しくみから理解する
リンパは末梢の毛細リンパ管で集められ、リンパ管・リンパ節を経て太い本幹に集まる。下半身と腹部からのリンパは第1〜第2腰椎の高さで合流して乳び槽をつくり、ここから胸管が始まる。胸管は横隔膜の大動脈裂孔を通って胸腔に入り、上行して左の静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)に注ぐ。担当するのは左上半身と下半身全体、つまり全身の約3/4。残りの右上半身(右の頭頸部・右上肢・右胸部)は右リンパ本幹が集め、右の静脈角に注ぐ。乳び槽という名は、食後に腸から吸収された脂肪(カイロミクロン)でリンパが乳白色に濁ることに由来する。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 リンパ系、解剖学の講義録(桂先生・リンパ)
選択肢ごとの確認
注ぐ先は静脈であって動脈ではない。左内頸静脈と左鎖骨下静脈が合流する左静脈角に開く。リンパは血液の流れの下流側に戻される。
右の頸リンパ本幹は右リンパ本幹に合流して右静脈角へ注ぐ。胸管は左側の系統なので合流しない。
胸管は最大のリンパ本幹で、毛細リンパ管はその上流の末梢にある細い管。階層が違う。
第1〜第2腰椎の高さで下半身と腹部のリンパ本幹が合流してできる乳び槽が起始部。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
「リンパは静脈に戻る」という基本を押さえていないと1を選ぶ。リンパは血管系と並行して走り、最後は必ず静脈に合流する。動脈へ戻ることはない。
理解を深める
担当範囲の左右非対称は乳癌の転移を考えるときに効いてくる。右上半身だけが右リンパ本幹の担当で、それ以外の全身は胸管が集める。リンパの流れは末梢から中枢への一方向で、心臓のようなポンプはない。動かしているのは筋肉のポンプ作用、呼吸による胸腔内圧の変動、リンパ管自体の平滑筋の収縮、そして逆流を防ぐ弁である。だから第112回午後 問27にあるように、筋運動をするとリンパ流量は増える。1日に胸管を流れる量は約2〜4Lで、10Lではない。
間違えやすい考え方
血管とリンパの合流先を動脈/静脈で入れ替える型と、階層(毛細リンパ管/本幹)を入れ替える型を同時に使っている。
5分で振り返る
リンパは毛細リンパ管→リンパ管→リンパ節→リンパ本幹と集まる。下半身と腹部のリンパは第1〜2腰椎の高さで乳び槽をつくり、そこから胸管が始まる。胸管は大動脈裂孔を通って上行し、左静脈角(左内頸静脈+左鎖骨下静脈)に注ぐ。担当は全身の約3/4(左上半身+下半身)。右上半身は右リンパ本幹→右静脈角。乳び槽の名は食後の脂肪で乳白色になることに由来。
1分チェック
- 胸管はどこから始まりどこへ注ぐか
- 胸管が集めるのは体のどの範囲か
- 右上半身のリンパはどこへ注ぐか
- 乳び槽という名前の由来は何か
この問題に対応する教材の確認中です。