患者の個別性を理解するために必要な概念はどれか。
公式正答:1
解説
患者の個別性を理解するために必要な概念を問う。ダイバーシティである。
この問題で問われていること
看護に関わる概念語を、意味で正確に区別できるか。
しくみから理解する
ダイバーシティ(多様性)は、人々が年齢、性別、性的指向、国籍、民族、言語、宗教、障害の有無、価値観、生活背景などにおいて多様であり、その違いを認めて尊重するという考え方である。患者を『疾患を持つ人』という一様な存在として扱うのではなく、一人ひとり異なる背景と価値観を持つ人として理解する姿勢につながる。個別性の理解という文脈に最も直接に対応する概念である。
選択肢ごとの確認
父権主義。専門家が本人に代わって『本人のためになる』判断を下し、本人の意思決定を制限する態度を指す。個別性の尊重とはむしろ対立する概念であり、現代の医療倫理では自律尊重の原則によって退けられる立場である。
1978年のアルマ・アタ宣言で提唱された、すべての人々に健康を届けるための理念と方策である。住民の主体的参加、地域資源の活用、適正技術、多分野の協調を柱とする。地域保健の枠組みであり、個別性の理解を表す語ではない。
社会的包摂。排除されがちな人々を社会の一員として包み込む考え方で、社会政策の理念である。ダイバーシティと関連するが、こちらは社会の側の在り方を指し、患者個人の理解という文脈とはやや軸が異なる。
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混同しやすいポイント
カタカナ語を並べる型で、意味を曖昧に覚えていると選べない。『多様性=ダイバーシティ』『父権主義=パターナリズム』『地域保健の理念=プライマリヘルスケア』『社会的包摂=ソーシャルインクルージョン』と、日本語訳を対にして覚える。とくにパターナリズムは、意味を知らないと肯定的な語に見えてしまう。
理解を深める
看護におけるダイバーシティへの配慮は、具体的な実践として現れる。外国籍の患者への医療通訳と多言語資料、宗教的な食事制限や礼拝への対応、性的マイノリティへの配慮(問診票の性別欄、同性パートナーの面会と意思決定への関与、呼称)、障害のある人への情報保障(手話、筆談、わかりやすい資料)、経済的な困難への支援などである。重要なのは、属性から決めつけず、その人自身に何を大切にしているかを尋ねる姿勢である。医療者自身が持つ無意識の偏見に気づくことも、この概念を実践に変える出発点になる。
間違えやすい考え方
概念語の意味を問う型で、誤肢がすべて看護でよく登場する語である。日本語訳で切る。
5分で振り返る
①ダイバーシティ=多様性を認め尊重する。②パターナリズム=父権主義、本人の意思決定を制限する態度。③プライマリヘルスケア=アルマ・アタ宣言、住民参加による地域保健の理念。④ソーシャルインクルージョン=社会的包摂。⑤属性で決めつけず本人に尋ねる姿勢が実践の核。
1分チェック
- 個別性の理解に対応する概念は何か。→ ダイバーシティ(多様性)。
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