高濃度の酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはど れか。
公式正答:4
解説
高濃度の酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高い疾患を問う。慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
この問題で問われていること
CO2ナルコーシスが起こる条件を、呼吸調節の機序から説明できるか。
しくみから理解する
COPDで高濃度酸素後にPaCO2が上がる機序は単一ではない。低酸素性肺血管収縮が解除されて換気血流比の不均衡が増えること、酸素化ヘモグロビンが二酸化炭素を放出するHaldane効果が主要因で、換気量低下も一部に関与する。「低酸素刺激が消えて呼吸が止まる」だけでは説明できない。
選択肢ごとの確認
気道の閉塞により肺胞が虚脱した状態で、換気血流比の不均衡による低酸素血症が主体である。慢性的なCO2貯留はなく、酸素投与でナルコーシスを起こす病態ではない。
肺動脈が塞栓により閉塞し、換気はあるが血流がない領域が生じる。低酸素血症をきたすが、むしろ過換気となりPaCO2は低下することが多い。
肺胞壁の線維化により拡散障害をきたす。低酸素血症が主体で、CO2は拡散能が高いため貯留しにくい。拘束性換気障害であり、慢性のCO2貯留は通常みられない。
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混同しやすいポイント
酸素投与を恐れて必要な酸素を控えない。高二酸化炭素血症リスクがある患者では、適切な目標を設定して酸素を滴定し、意識、呼吸、SpO2と血液ガスを再評価する。高二酸化炭素血症の機序は換気血流比悪化、Haldane効果、換気低下の複合である。
理解を深める
SpO2 88~92%は、COPDという診断名だけで全員に固定する値ではない。高二酸化炭素血症性呼吸不全のリスクがある患者で、血液ガス結果が得られるまでの初期目標として用いる。結果と既往の個別目標を確認し、高二酸化炭素血症がなければ適切な目標へ見直す。重度低酸素血症では酸素を遅らせず、投与後に意識、呼吸、SpO2、血液ガスを再評価する。
間違えやすい考え方
『危険性が最も高いのはどれか』型で、誤肢がいずれも低酸素血症をきたす呼吸器疾患である。慢性のCO2貯留があるかどうかで切る。
5分で振り返る
①COPD全例を88~92%に固定しない。②高二酸化炭素血症リスク例では血液ガス判明まで88~92%を目安に滴定する。③血液ガスと個別既往目標で再設定する。④低酸素血症を放置しない。⑤意識、呼吸、SpO2、PaCO2・pHを反復評価する。
1分チェック
- CO2ナルコーシスの危険が高いのはどの病態か。→ COPD(慢性のCO2貯留がある II型呼吸不全)。
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