A さん(78 歳、女性)は認知症 dementia があり、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準 Ⅰである。1人で暮らしており、かかりつけの医師から処方された複数の内服薬を 1日3回服用している。嚥下障害はない。A さんは「薬がたくさんあって、余る薬 もあるのよ」と訪問看護師に話した。 このときの服薬管理で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
認知症高齢者の日常生活自立度Ⅰで1人暮らし、複数の内服薬を1日3回服用し飲み残しがある患者への支援を問う。内服薬を一包化することである。
この問題で問われていること
対象の状態を読み取り、実行可能で自立を保つ支援を選べるか。
しくみから理解する
自立度Ⅰは、何らかの認知症を有するが日常生活はほぼ自立している段階である。この人は嚥下障害がなく、1人で生活しており、薬が余るという自覚もある。つまり飲む能力はあり、複数の薬を時点ごとに正しく取り出す作業が負担になっている。一包化は、服用する時点ごとに複数の薬を1包にまとめる方法で、取り出す作業そのものをなくす。飲み忘れと飲み間違いが減り、残薬の確認も容易になる。本人の能力を奪わずに負担だけを減らせる点で、この段階に適した支援になる。
選択肢ごとの確認
錠剤を粉砕したり口腔内崩壊錠に変えたりするのは、嚥下障害や飲み込みにくさがある場合の対応である。この人には嚥下障害がないと明記されており、必要がない。また徐放性製剤や腸溶性製剤は粉砕できない。
訪問の時間にしか服用できない形になり、1日3回の服用を保てない。また本人の自立を損なう。訪問看護が関わるとしても、服薬状況の確認と残薬のチェック、仕組みづくりの支援という形が適切である。
保管場所を1か所にすることは管理上望ましいが、飲む時点で複数の薬包から取り出す作業は変わらない。この人の困りごと(薬がたくさんあって余る)を解決しない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『何が負担になっているか』を設問文から読み取ることが要点である。嚥下障害はない、1人で生活できている、薬が多くて余る、という記述から、飲む能力ではなく管理の複雑さが問題だと分かる。誤肢はいずれも実在する支援だが、この人の困りごとに対応していない。
理解を深める
服薬管理の支援では、まず本人の能力を評価する。視力(文字が読めるか)、手指の巧緻性(包装から出せるか)、認知機能(時間と手順を理解できるか)、生活リズム(食事の時間が一定か)を確認する。工夫としては、一包化、服薬カレンダーやピルケース、大きな文字の説明、服用時点を生活行動と結びつける、服薬回数を減らせないか医師と相談する(1日3回を1回や2回にまとめられる製剤への変更)といった方法がある。残薬の確認は重要で、飲めていない場合に本人を責めず、原因を一緒に探す。多剤併用(ポリファーマシー)は転倒とせん妄の原因にもなるため、定期的な処方の見直しを医師・薬剤師と行う。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が別の状態への支援と、問題を解決しない方法で構成されている。設問文の条件(嚥下障害なし、1人暮らし、自立度Ⅰ)を拾う。
5分で振り返る
①一包化=服用時点ごとに複数の薬を1包にまとめる。飲み忘れと飲み間違いを減らす。②形状の変更は嚥下障害がある場合。③訪問時のみの内服は自立を損ない回数も保てない。④保管の集約だけでは取り出す作業が残る。⑤評価は視力・巧緻性・認知機能・生活リズム。⑥ポリファーマシーの見直しも検討する。
1分チェック
- 薬が多くて飲み残す高齢者への支援は。→ 一包化(取り出す作業をなくす)。
この問題に対応する教材の確認中です。