急性期の患者に起きる生体反応で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
急性期の患者に起きる生体反応で正しいものを問う。カテコールアミンの分泌が亢進することである。
この問題で問われていること
侵襲に対する神経内分泌反応を、方向を含めて理解しているか。
しくみから理解する
手術、外傷、熱傷、重症感染症といった侵襲を受けると、生体は恒常性を保とうとして神経内分泌反応を起こす。交感神経-副腎髄質系が活性化してカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)の分泌が亢進し、心拍数と血圧を上げ、血糖を上昇させ、末梢血管を収縮させて重要臓器への血流を確保する。同時に、視床下部-下垂体-副腎皮質系が働いてコルチゾールが増え、抗利尿ホルモン(ADH)とアルドステロンも増加して水とナトリウムを保持し、循環血液量を維持する。これらは生体を守るための反応である。
選択肢ごとの確認
逆で亢進する。侵襲後は基礎代謝が上がり、酸素消費量とエネルギー必要量が増加する。発熱もこれに加わる。したがって侵襲期には十分なエネルギー供給が必要になる。
逆である。侵襲期には異化が同化を上回り、筋蛋白が分解されてアミノ酸が供給される。尿中への窒素排泄が増え、負の窒素平衡となる。回復期に入ると同化が優位に転じ、創傷治癒と筋の再生が進む。
逆で亢進する。ADHが増えて水の再吸収が進み、尿量が減少する。これは循環血液量を保つための反応である。術後に尿量が減るのはこのためで、脱水と決めつけて過剰に輸液すると、後にサードスペースからの体液還流と合わせて溢水を招くことがある。
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混同しやすいポイント
誤肢3つがすべて方向の逆になっている。『侵襲期は上がる』ものを覚える。カテコールアミン、コルチゾール、ADH、アルドステロン、代謝率、血糖、異化、体温。下がるのは尿量である。1つ確実に方向を持てば連鎖的に判定できる。
理解を深める
ムーアは術後の回復過程を4相に分けた。第1相(傷害期、術後2〜4日)は神経内分泌反応が最も強く、異化が亢進し、尿量が減少する。第2相(転換期、術後3〜7日)はホルモン反応が収まり、貯留していた水分が排泄されて利尿が起こる。第3相(同化期、術後1週〜数週)は蛋白同化が進み、食欲が戻り、体力が回復する。第4相(脂肪蓄積期)は体脂肪が回復し、体重が戻る。看護では、各相で観察すべきものが変わる。第1相では循環と呼吸の安定、疼痛管理、感染予防、第2相では利尿に伴う電解質と循環の変化、第3相では栄養と活動の拡大が中心になる。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が全部方向の逆である。侵襲期に何が増えるかを一覧で持つ。
5分で振り返る
①侵襲期はカテコールアミン・コルチゾール・ADH・アルドステロンが増加。②代謝は亢進、異化が同化を上回り負の窒素平衡。③ADH増加により尿量は減少。④ムーアの4相=傷害期・転換期・同化期・脂肪蓄積期。⑤転換期には利尿が起こる。⑥侵襲期には十分なエネルギー供給が要る。
1分チェック
- 侵襲を受けた急性期に何が増えるか。→ カテコールアミン(およびコルチゾール・ADH・アルドステロン)。
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