膵頭十二指腸切除術においてドレーンを留置する場所で正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
膵頭十二指腸切除術でドレーンを留置する場所を問う。ウインスロー孔である。
この問題で問われていること
腹腔内の解剖学的な間隙と、そこにドレーンを置く理由を理解しているか。
しくみから理解する
ウインスロー孔(網嚢孔)は、小網の後方にある、大腹腔と網嚢(小腹腔)をつなぐ唯一の通路である。膵頭十二指腸切除術では、膵管空腸吻合、胆管空腸吻合、胃空腸吻合という複数の吻合が膵頭部周囲に作られる。この領域から漏れた液体は網嚢に貯留し、ウインスロー孔を通って大腹腔へ流れる。したがってここにドレーンを留置すれば、膵液瘻や胆汁瘻といった縫合不全を早期に発見でき、貯留した液の排出もできる。膵液が漏れると周囲の組織を消化し、血管を破綻させて致死的な出血を招くため、早期発見が決定的に重要になる。
選択肢ごとの確認
第四脳室の正中にある開口部で、脳脊髄液が第四脳室からくも膜下腔へ流れ出る通路である。中枢神経系の構造であり腹腔とは無関係である。
第四脳室の外側にある開口部で、これも脳脊髄液の流出路である。マジャンディー孔とともに、閉塞すれば非交通性水頭症の原因になる。
室間孔。側脳室と第三脳室をつなぐ通路である。これも脳室系の構造である。
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混同しやすいポイント
人名のついた『孔』が4つ並んでおり、3つは脳室系、1つが腹腔という構成になっている。脳脊髄液の流路(側脳室→モンロー孔→第三脳室→中脳水道→第四脳室→マジャンディー孔とルシュカ孔→くも膜下腔)を一連で覚えていれば、腹腔のウインスロー孔だけが浮く。
理解を深める
膵頭十二指腸切除術は、膵頭部、十二指腸、胆嚢、総胆管を切除し、膵臓・胆管・消化管を空腸に吻合する大きな手術である。胃の扱いは術式により異なり、古典的な術式では胃の一部を切除するが、国内では幽門輪を温存する術式や、胃をほぼ温存する術式も広く行われている。術後合併症として、膵液瘻(最も重要)、胆汁瘻、術後出血、胃内容排出遅延、腹腔内膿瘍がある。ドレーン排液の性状と量、アミラーゼ値の測定が膵液瘻の早期発見につながる。排液が白濁したりワインレッド色になったりすれば、瘻孔や出血を疑って直ちに報告する。長期的には、膵の内外分泌機能の低下により、糖尿病と消化吸収障害(脂肪便)が生じうるため、血糖管理と消化酵素補充が必要になる。
間違えやすい考え方
解剖学的な部位の名称を問う型で、誤肢がすべて脳室系の孔である。系統が違うことに気づけば一択になる。
5分で振り返る
①ウインスロー孔=網嚢と大腹腔をつなぐ通路、膵頭部周囲の排液が集まる。②膵液瘻・胆汁瘻の早期発見のため留置する。③膵液漏出は血管を破綻させ致死的出血を招く。④マジャンディー孔・ルシュカ孔・モンロー孔は脳室系。⑤排液の性状変化とアミラーゼ値で瘻孔を評価。⑥長期には糖尿病と消化吸収障害。
1分チェック
- 膵頭十二指腸切除術のドレーンはどこに置くか。→ ウインスロー孔(網嚢孔)。
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