老化に伴う消化器系の変化で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
老化に伴う消化器系の変化で正しいものを問う。大腸の蠕動運動が低下することである。
この問題で問われていること
加齢による変化と、疾患による変化を区別できるか。
しくみから理解する
加齢により腸管の平滑筋量が減少し、腸管を支配する神経叢の細胞も減るため、大腸の蠕動運動が低下する。加えて、活動量の減少、食事量と食物繊維の摂取量の低下、水分摂取の不足、腹圧をかける腹筋の筋力低下、薬剤(抗コリン薬、オピオイド、鉄剤、一部の降圧薬)の影響が重なり、高齢者では便秘が高頻度にみられる。直腸の感覚も鈍くなり、便意を感じにくくなることも要因になる。
選択肢ごとの確認
逆で減少する。膵の外分泌機能は加齢とともに低下する。ただし予備能が大きいため、通常は消化吸収障害として表面化しにくい。
逆で減少する。唾液腺の萎縮に加え、服用薬(抗コリン作用のあるもの)の影響も大きい。口腔乾燥は、味覚の低下、義歯の不適合、う蝕と歯周病、嚥下困難、会話のしにくさにつながる。
胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)は、ヘリコバクター・ピロリの感染が主な原因である。加齢そのものによる変化というより、長期の感染の結果として高齢者に多くみられる。したがって『老化に伴う変化』としては適切でない。除菌が普及した世代では、高齢になっても萎縮が進まない例が増えると考えられている。
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混同しやすいポイント
肢4が最も判断の難しい選択肢である。高齢者に萎縮性胃炎が多いことは事実だが、その原因はピロリ菌の感染であり、加齢そのものではない。『高齢者に多い=老化に伴う変化』ではない、という区別が問われている。接地元の教科書にも「次第に胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)が起こるもので、ピロリ菌の感染が主な原因である」と記載がある。
理解を深める
高齢者の便秘への対応は、原因を切り分けることから始める。食事(食物繊維と水分)、活動量、排便習慣(便意を我慢しない、時間を決めてトイレに座る)、姿勢(前傾で足台を使う)、腹部マッサージ、薬剤の見直しを行い、必要に応じて緩下薬を用いる。刺激性下剤の連用は耐性と腸管の機能低下を招くため、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤から検討する。ただし腎機能低下例では高マグネシウム血症に注意する。便秘の裏に大腸癌や腸閉塞が隠れていることもあり、急な便通の変化、血便、体重減少があれば精査につなぐ。口腔乾燥に対しては、口腔ケア、保湿剤、含嗽、原因薬剤の確認を行う。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢2つが方向の逆、1つが原因の取り違えである。加齢そのものによるかどうかで切る。
5分で振り返る
①大腸の蠕動運動が低下→便秘。②膵液・唾液の分泌も減少。③胃粘膜の萎縮はピロリ菌感染が主因で加齢そのものではない。④便秘の要因は活動量・食事・水分・腹筋・薬剤・直腸感覚の低下。⑤刺激性下剤の連用は避ける。⑥急な便通変化・血便・体重減少は精査へ。
1分チェック
- 老化で消化器はどう変わるか。→ 大腸の蠕動運動が低下する(膵液と唾液も減少)。
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