A 君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群 nephrotic syndrome と診断され入院した。 ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減 し、血圧は128/80 mmHg、尿蛋白+であった。 A 君に説明する必要があるのはどれか。
公式正答:1
解説
6歳児の血圧128/80mmHgを成人基準で「問題ない」と扱わない。小児血圧は年齢・性別・身長に基づく基準で判定し、この値は明らかな高値として再測定と評価が必要である。尿量増加や浮腫軽減だけで臨床的回復を断定しない。
この問題で問われていること
治療の段階を読み取り、その時点で最も重要になる課題を選べるか。
しくみから理解する
ネフローゼ症候群では、浮腫や尿量が改善しても蛋白尿や高血圧が残ることがある。6歳の128/80mmHgは年齢別基準から外れるため、適切なカフで再測定し、持続性、薬剤、体液量、腎機能を評価する。感染だけを最優先と決めつけず、事例の異常所見を並列に確認する。
選択肢ごとの確認
高度の浮腫がある急性期には安静が必要になることがあるが、浮腫が軽減し尿量が増えている段階では、過度の安静はかえって血栓症のリスクを高める。ネフローゼ症候群では、抗凝固因子の尿中喪失と血液濃縮により血栓を生じやすく、活動の制限は慎重に判断する。
高度の浮腫や乏尿のある時期には制限することがあるが、利尿がついて浮腫が軽減している段階では、厳しい制限は脱水と血栓症を招く。医師の指示に応じて緩和される。
かつては行われたが、現在は推奨されない。成長期の小児では、必要な蛋白質を確保することが優先される。ネフローゼ症候群では蛋白が尿中に失われており、過度の制限は栄養状態を悪化させる。制限が必要なのは塩分であり、浮腫の程度に応じて調整する。
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混同しやすいポイント
事例では尿量増加と浮腫軽減がみられるが、尿蛋白は「+」であり陽性のままである。尿蛋白陰性と読み替えない。症状の改善と蛋白尿の残存を分けて評価し、同じ事例の血圧も年齢別基準で確認する。
理解を深める
小児のネフローゼ症候群は、その多くが微小変化型で、ステロイドによく反応し寛解に至る。ただし再発が多く、長期の管理が必要になる。ステロイドの副作用として、易感染性、満月様顔貌、体重増加、成長障害、骨粗鬆症、高血糖、白内障、精神症状がある。外見の変化は学童にとって心理的な負担が大きく、学校生活への影響も配慮する。自己判断での中止は再発と急性副腎不全を招くため、服薬の継続が重要になる。感染予防としては、手洗い、うがい、人混みを避ける、家族の体調管理があり、生ワクチン可否は投与経路・用量・期間で判断し、一般にプレドニゾン換算2mg/kg/日以上(または体重10kg超で20mg/日以上)を14日以上全身投与した場合は中止後少なくとも1か月延期する。短期・低用量や局所・吸入投与は一律の禁忌ではない点も押さえる。再発の早期発見のため、家庭での尿蛋白のチェックと体重測定を指導する。
間違えやすい考え方
『説明する内容』を問う型で、誤肢がいずれも急性期には行われる管理である。事例の段階を読んで、いま必要なものを選ぶ。
5分で振り返る
①ネフローゼでは免疫グロブリンが尿中へ失われ、ステロイドも免疫を抑制→易感染。②感染は再燃の誘因にもなる。③浮腫が軽減した段階での過度の安静と水分制限は血栓症を招く。④蛋白制限は現在推奨されない、制限するのは塩分。⑤ステロイドの自己中断は再発と急性副腎不全。⑥生ワクチンは投与中原則不可。
1分チェック
- ネフローゼ症候群の回復期で最も重要な指導は。→ 感染予防(手指衛生)。
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