子宮復古不全〈subinvolution of the uterus〉の要因はどれか。
公式正答:2
解説
子宮復古不全の要因を問う。卵膜の子宮内遺残である。
この問題で問われていること
子宮が元に戻る仕組みを理解し、それを妨げる条件を導けるか。
しくみから理解する
分娩後の子宮は、子宮筋の収縮によって胎盤剥離面の血管を圧迫して止血し、同時に大きさを戻していく。この収縮が十分に起こらない状態が子宮復古不全である。卵膜や胎盤の一部が子宮内に残っていると、子宮筋が完全に収縮できず、収縮が妨げられて復古が遅れる。加えて遺残組織は感染源にもなり、子宮内膜炎を起こしてさらに復古を妨げる。結果として、悪露の増量と持続、子宮底の下降の遅れ、子宮の硬さの不足、後陣痛の遷延がみられる。
選択肢ごとの確認
胎児が子宮内で十分に発育しない状態で、子宮の過度な伸展を伴わないため、むしろ復古には不利に働かない。子宮復古不全の要因となるのは、多胎妊娠や羊水過多、巨大児といった子宮筋が過度に伸展する条件である。
逆に子宮復古を促進する。吸啜刺激により下垂体後葉からオキシトシンが分泌され、子宮筋の収縮が強まる。早期の授乳と頻回授乳は、復古の促進と出血の抑制に働く。
膀胱炎そのものは要因にならない。ただし尿閉や膀胱の過度の充満は、子宮を圧迫して収縮を妨げるため、排尿の確認は産褥期の重要な観察項目になる。膀胱炎と膀胱充満は別の状態である。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『分娩直後の授乳』が促進要因であることが最も重要な区別点である。授乳=オキシトシン=子宮収縮という経路を持っていれば、逆方向の選択肢だと分かる。また膀胱炎と膀胱充満の違いも押さえる。復古を妨げるのは、遺残、子宮筋の疲労(遷延分娩、多胎、羊水過多、巨大児)、感染、膀胱や直腸の充満、長期の臥床である。
理解を深める
産褥期の子宮底の高さは、分娩直後は臍下2〜3横指、12時間後に臍高付近まで上昇し、その後1日1横指ずつ下降して、産褥10日前後で腹壁から触れなくなる。悪露は、赤色悪露(産褥3日頃まで)、褐色悪露(4〜9日頃)、黄色悪露(10日〜3週)、白色悪露(3〜6週)と変化する。子宮復古不全では、赤色悪露が長く続き量も多い。看護としては、子宮底の高さと硬さの触診、悪露の量・色・においの観察、排尿の確認、早期離床、授乳の支援を行う。硬さが不足していれば子宮底の輪状マッサージを行い、必要に応じて子宮収縮薬を用いる。発熱と悪臭のある悪露は産褥感染を疑う。
間違えやすい考え方
要因を問う型で、誤肢に促進要因(授乳)が混ざっている。機序の方向で切る。
5分で振り返る
①子宮復古は子宮筋の収縮による。②卵膜・胎盤の遺残は収縮を妨げ、感染源にもなる。③授乳はオキシトシン分泌を促し復古を促進する。④多胎・羊水過多・巨大児・遷延分娩は子宮筋の過伸展と疲労で要因になる。⑤膀胱の充満も収縮を妨げる(膀胱炎とは別)。⑥子宮底は産褥10日頃に触れなくなる。
1分チェック
- 子宮復古不全の要因は何か。→ 卵膜・胎盤の子宮内遺残(子宮筋の収縮を妨げる)。
この問題に対応する教材の確認中です。