知的障害〈intellectual disability〉〈精神遅滞〉について〈mental retardation〉 正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
知的障害(精神遅滞)について正しいものを問う。知的機能と適応機能が障害されることである。
この問題で問われていること
定義を、発症時期と障害される領域の両面から把握しているか。
しくみから理解する
知的障害は、知的機能(論理的思考、問題解決、判断、学習など)と適応機能(日常生活、社会生活、対人関係、実用的な技能)の両方に制限があり、それが発達期に生じる状態と定義される。発達期の区切りは枠組みによって異なり、現在の専門的な定義では22歳になるまでの間とされる一方、国内の療育手帳の運用では18歳未満が用いられる。知能検査の数値だけで判定するのではなく、実際の生活のなかでどれだけ支援を要するかという適応機能を重視する点が、現在の考え方の特徴である。DSM-5では知的発達症(知的能力障害)と呼ばれ、重症度も知能指数ではなく適応機能に基づいて判定される。
選択肢ごとの確認
発達期(18歳未満)に生じるものが知的障害である。成人期以降に、それまで保たれていた知的機能が低下する状態は認知症であり、区別される。
退行は、いったん獲得した発達段階から未熟な段階へ戻ることを指し、心理的な防衛機制や、ストレス下での一時的な現象として現れる。知的障害は発達期からの持続的な状態であり、退行ではない。
統合失調症は主に思春期以降に発症する精神疾患で、知的障害の原因ではない。知的障害の原因には、染色体異常(ダウン症候群など)、先天代謝異常(フェニルケトン尿症など)、周産期の脳障害、感染、外傷などがあるが、原因が特定できない場合も多い。なお知的障害のある人が統合失調症を併発することはあり、その場合は診断と対応が難しくなる。
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混同しやすいポイント
知的障害と認知症の区別が要点である。発達期に生じる(知的障害)か、いったん獲得した機能が後に低下する(認知症)かで分かれる。また『知的機能だけでなく適応機能も』という二つの軸を押さえる。知能指数が同じでも、支援の必要度は環境と適応機能によって大きく変わる。
理解を深める
看護では、その人の理解できる方法で伝えることが基本になる。短く具体的な言葉、視覚的な手がかり、実演、一度に一つの指示、繰り返しの確認が有効である。本人が理解し決められる形での説明(意思決定支援)を行い、家族や支援者を通じてのみ話を進めない。医療の場では、痛みや不調を言葉で表現しにくいことがあり、行動の変化(落ち着かない、いつもと違う、食べない)から気づく必要がある。地域の支援としては、療育手帳、障害福祉サービス(生活介護、就労支援、グループホーム)、相談支援がある。療育手帳の判定では発達期を18歳未満とする運用が用いられ、専門的な定義(22歳になるまで)とは区切りが異なる。成人期には、親の高齢化に伴う支援体制の移行が課題になる。
間違えやすい考え方
定義を問う型で、誤肢が発症時期、現象の種類、原因の取り違えで構成されている。二つの軸と発達期という条件で切る。
5分で振り返る
①知的機能と適応機能の両方に制限がある。②発達期(おおむね18歳未満)に生じる。③成人期以降の低下は認知症で別概念。④重症度は知能指数でなく適応機能で判定する(DSM-5)。⑤原因は染色体異常・代謝異常・周産期障害など、不明も多い。⑥支援は短く具体的な言葉、視覚的手がかり、意思決定支援。
1分チェック
- 知的障害の定義は何か。→ 発達期に生じる、知的機能と適応機能の障害。
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