伝えたいことがあるにも関わらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難に なるのはどれか。
公式正答:2
解説
伝えたいことがあるにもかかわらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難になるものを問う。構音障害である。
この問題で問われていること
言語とコミュニケーションの障害を、どの段階の障害かで区別できるか。
しくみから理解する
構音障害(ディサースリア)は、言語を組み立てる能力は保たれているのに、発音に関わる器官(口唇、舌、軟口蓋、喉頭、呼吸筋)を動かす神経や筋の障害によって、正しく音を作れなくなる状態である。ろれつが回らない、不明瞭になる、話す速さやリズムが乱れるといった症状が現れる。原因は、脳血管障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、脳性麻痺、重症筋無力症などである。言いたいことは分かっており、書字や文字盤でのやりとりは可能な場合が多い点が、失語症との決定的な違いになる。
選択肢ごとの確認
言いたい語が出てこない状態で、失語症(とくに健忘失語や運動性失語)の症状である。『あれ、それ』と言い換えたり、遠回しな説明をしたりする。発音の障害ではなく、語を選び出す段階の障害である。
話し始めの音の繰り返し(ぼ、ぼ、ぼくは)、引き伸ばし、つまり(ブロック)を特徴とする発話の流暢性の障害である。発達性のものが多く、神経筋の障害による発音の不明瞭さとは異なる。
意図した語とは違う語や音に置き換わって発話される症状で、失語症でみられる。音韻性錯語(『とけい』を『とけえ』『とれい』)と語性錯語(『鉛筆』を『ボールペン』)がある。
声そのものがかすれる状態で、声帯の器質的な変化(声帯ポリープ、喉頭炎、喉頭癌)や反回神経麻痺による。音を作る構音の問題ではなく、発声の問題である。ただし反回神経麻痺では嗄声と構音の問題が併存しうる。
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混同しやすいポイント
障害の段階で整理する。①語を選ぶ・組み立てる段階の障害=失語症(喚語困難、錯語、理解障害)。②音を作る段階の障害=構音障害。③声を出す段階の障害=発声障害(嗄声)。④流暢性の障害=吃音。設問文の『伝えたいことがあるにもかかわらず』という記述が、言語の組み立ては保たれていることを示しており、失語症を除外する手がかりになる。
理解を深める
構音障害の患者へのコミュニケーション支援では、時間をかけて聞く、聞き取れたところまで確認する、はい・いいえで答えられる質問を用いる、文字盤や筆談、意思伝達装置を活用する、静かな環境を整える、といった配慮を行う。焦らせない、先回りして言葉を代わりに言わない、聞き取れないのに分かったふりをしないことが重要である。分かったふりは、その場をしのげても信頼を損ない、必要な情報を取り逃がす。言語聴覚士による訓練(呼吸、発声、口腔器官の運動、発話速度の調整)と連携する。嚥下にも同じ器官が関わるため、構音障害のある患者では誤嚥のリスクも評価する。この結びつきは臨床で重要で、『ろれつが回らない=むせやすい』と考えて観察する。
間違えやすい考え方
症状の名称を問う型で、誤肢が失語症の症状、流暢性の障害、発声の障害で構成されている。障害の段階で切る。
5分で振り返る
①構音障害=発音に関わる神経や筋の障害、言語の組み立ては保たれる。②失語症=語の選択と組み立ての障害(喚語困難、錯語)。③嗄声=声そのものの障害。④吃音=流暢性の障害。⑤構音障害では書字や文字盤が使えることが多い。⑥同じ器官を使うため嚥下障害を合併しやすい。
1分チェック
- ろれつが回らず正しく発音できないのは何か。→ 構音障害(言語の組み立ては保たれる)。
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