ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状はどれか。2つ選べ。
公式正答:4・5
解説
ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状を2つ問う。筋強剛とアカシジアである。
この問題で問われていること
薬剤の作用機序と副作用を、神経伝達路と結びつけて理解しているか。
しくみから理解する
抗精神病薬は主にドパミンD2受容体を遮断する。脳内のドパミン神経路は複数あり、遮断される経路によって効果と副作用が分かれる。中脳辺縁系路の遮断は幻覚・妄想といった陽性症状を改善する(治療効果)。一方、黒質線条体路が遮断されると、パーキンソン病と同じ状態、すなわちドパミンの不足による錐体外路症状が生じる。これには、筋強剛(固縮)、振戦、無動、姿勢反射障害といったパーキンソン症状のほか、じっとしていられず足踏みや歩き回りを繰り返すアカシジア(静坐不能)、急激な筋の異常収縮であるジストニア、長期投与後に現れる遅発性ジスキネジアが含まれる。
選択肢ごとの確認
逆である。幻聴は統合失調症の陽性症状で、中脳辺縁系のドパミン過剰が関与するとされる。D2受容体の遮断はこれを改善する方向に働く。副作用ではなく治療効果である。
抗精神病薬の副作用として頻繁にみられるが、機序は抗コリン作用(ムスカリン受容体の遮断)による。同じ機序で便秘、尿閉、かすみ目、認知機能への影響が生じる。ドパミン遮断によるものではない。
幻聴と同じく陽性症状であり、D2遮断によって改善する方向に働く。副作用ではない。
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混同しやすいポイント
選択肢1と3は『治療効果として改善するもの』を副作用として提示する型である。設問が『遮断されることで出現する』と書いている点を読み、方向を確認する。また選択肢2は、同じ薬の副作用ではあるが機序が違うという型で、これも紛らわしい。抗精神病薬の副作用を、ドパミン遮断によるもの(錐体外路症状、高プロラクチン血症)、抗コリン作用によるもの(口渇、便秘、尿閉)、抗ヒスタミン作用によるもの(眠気、体重増加)、抗α1作用によるもの(起立性低血圧)に分けて整理しておく。
理解を深める
錐体外路症状のうち、アカシジアは見落とされやすく、患者の苦痛が大きい。『そわそわして落ち着かない』様子が、精神症状の悪化や不安と誤って解釈され、薬が増量されて悪化するという事態が起こりうる。足がむずむずする、座っていられない、という訴えに注意する。ジストニアは投与開始後早期に、眼球上転、斜頸、後弓反張として急激に出現し、苦痛と恐怖が大きいため、抗コリン薬の投与で速やかに対応する。遅発性ジスキネジアは長期投与後に口周囲や舌の不随意運動として現れ、難治性である。もう一つの重篤な副作用が悪性症候群で、高熱、著明な筋強剛、意識障害、発汗、頻脈、CK上昇をきたし、直ちに薬剤を中止して全身管理を行う。また、下垂体でのD2遮断はプロラクチンの分泌抑制を解除するため、高プロラクチン血症による乳汁分泌、無月経、性機能障害が生じる。これらは訴えにくい症状であり、看護師が尋ねる姿勢を持つことが服薬の継続につながる。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢に治療効果と別機序の副作用が混ざっている。神経路ごとに整理して切る。
5分で振り返る
①中脳辺縁系路の遮断=陽性症状の改善(治療効果)。②黒質線条体路の遮断=錐体外路症状(筋強剛、振戦、無動、アカシジア、ジストニア、遅発性ジスキネジア)。③下垂体での遮断=高プロラクチン血症。④口渇・便秘・尿閉は抗コリン作用。⑤アカシジアは不安と誤られやすい。⑥悪性症候群は高熱・筋強剛・意識障害・CK上昇で緊急。
1分チェック
- ドパミンD2受容体の遮断で出る副作用は。→ 錐体外路症状(筋強剛、アカシジア、ジストニア、遅発性ジスキネジア)。
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