次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(roomair)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。
A さんの意識レベルは、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で評価するとどれ か。
公式正答:2
解説
大声で話しかけると開眼するが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう状態のジャパン・コーマ・スケール(JCS)による評価を問う。Ⅱ-20である。
この問題で問われていること
評価の枠組みを、覚醒の有無と刺激の種類で正確に使えるか。
しくみから理解する
JCSは、覚醒の状態によって大きく3群に分ける。Ⅰ桁は刺激しなくても覚醒している状態、Ⅱ桁は刺激すると覚醒する状態、Ⅲ桁は刺激しても覚醒しない状態である。この事例は、大声で話しかけると開眼するため、刺激により覚醒するⅡ桁にあたる。Ⅱ桁の中は、10=普通の呼びかけで容易に開眼する、20=大きな声または体を揺さぶることにより開眼する、30=痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する、に分かれる。大声で開眼するのだから20になる。
選択肢ごとの確認
Ⅱ-10は、普通の呼びかけで容易に開眼する状態である。この事例では、閉眼していて大声で話しかけて初めて開眼しており、普通の呼びかけでは反応していない。刺激の強さが一段階違う。
Ⅲ-100は、刺激しても覚醒しない状態のうち、痛み刺激に対して払いのけるような動作をするものである。この事例は開眼するため、Ⅲ桁ではない。
Ⅲ-200は、痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめたりする状態である。これも覚醒しない群であり、該当しない。
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混同しやすいポイント
3桁の意味を、まず覚醒で切ることが要点になる。開眼するかどうか、するとしたらどの刺激でか。Ⅰ=刺激なしで覚醒、Ⅱ=刺激で覚醒、Ⅲ=刺激でも覚醒しない。桁が分かれば、その中の3段階を選ぶ。Ⅰは1=清明とは言えない、2=見当識障害、3=名前や生年月日が言えない。Ⅲは100=痛み刺激を払いのける、200=少し手足を動かす・顔をしかめる、300=全く反応しない。数字が大きいほど重い、という点も押さえる。
理解を深める
グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は、開眼(E、4段階)、言語反応(V、5段階)、運動反応(M、6段階)の3項目を別々に評価し、合計3〜15点で表す。最も良い状態が15点、最も悪い状態が3点で、JCSとは数値の向きが逆になる(JCSは大きいほど重い、GCSは小さいほど重い)。この違いは取り違えやすいので、必ず確認する。GCSは国際的に用いられ、経過を項目別に追えるという利点がある。意識レベルの評価では、数値を記録するだけでなく、瞳孔の大きさと左右差、対光反射、麻痺の有無、バイタルサインを併せて観察する。この事例では、激しい頭痛と意識障害、血圧の上昇があり、くも膜下出血が強く疑われる。意識レベルの悪化、血圧の上昇と徐脈(クッシング現象)、瞳孔不同は、頭蓋内圧亢進と脳ヘルニアの切迫を示す危険な徴候であり、直ちに報告する。
間違えやすい考え方
評価尺度の適用を問う型で、誤肢が同じ尺度の別の段階である。覚醒の有無と刺激の種類で切る。
5分で振り返る
①JCSはⅠ=刺激なしで覚醒、Ⅱ=刺激で覚醒、Ⅲ=刺激でも覚醒しない。②Ⅱ-10=普通の呼びかけ、Ⅱ-20=大声または体を揺さぶる、Ⅱ-30=痛み刺激+呼びかけでかろうじて。③Ⅲ-100=払いのける、200=少し動かす・顔をしかめる、300=反応なし。④JCSは数値が大きいほど重い、GCSは小さいほど重い。⑤GCSはE4・V5・M6の合計3〜15点。⑥瞳孔・対光反射・麻痺・バイタルも併せて観察する。
1分チェック
- 大声で呼べば開眼するがすぐ眠り込む状態のJCSは。→ Ⅱ-20。
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