次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApgar〈アプガー〉スコア10点であった。産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。
日齢4、A さんの児の体重は3,100 g。体温37.1 ℃、呼吸数48/分、心拍数 130/分。経皮ビリルビン10.0 mg/dL。排尿9回/日、排便8回/日。 児のアセスメントで正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
日齢4の新生児(体重3,100g、出生時3,200g、体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分、経皮ビリルビン10.0mg/dL、排尿9回/日、排便8回/日)のアセスメントを問う。バイタルサインは正常であることである。
この問題で問われていること
新生児の基準値を、成人と区別して把握しているか。
しくみから理解する
新生児のバイタルサインの基準は、体温36.5〜37.5℃、呼吸数およそ30〜60回/分(60回/分以上を多呼吸とする)、心拍数120〜160回/分である。呼吸数は動きやすいため、数値だけでなく、陥没呼吸や鼻翼呼吸といった呼吸の努力、呻吟、そして皮膚色と合わせて判定する。この事例の体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分は、いずれも基準の範囲内にある。成人の基準(体温36〜37℃、呼吸数12〜20回/分、脈拍60〜100回/分)を当てはめると、発熱・頻呼吸・頻脈と誤って判定してしまう。新生児は体表面積が大きく代謝が活発で、1回換気量と1回拍出量が小さいため、呼吸数と心拍数を多くして必要量を確保している。
選択肢ごとの確認
光線療法の開始は単一の概算値ではなく、出生後時間、在胎週数、総血清ビリルビン値、神経毒性リスク因子を用いたノモグラムで判断する。固定の15mg/dLを全新生児へ適用しない。
生理的体重減少の範囲を超えていない。出生時3,200gから3,100gへの減少は100g、3.1%にあたる。生理的体重減少は5〜10%の範囲とされ、この事例はその範囲内である。しかも前日の3,080gから増加に転じており、順調な経過を示している。
排尿回数は少なくない。新生児では、生後数日を過ぎると1日6回以上の排尿があれば水分摂取が足りていると判断される。9回は十分な回数である。排便8回も、母乳栄養児では授乳のたびに排便することがあり、異常ではない。
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混同しやすいポイント
4つの選択肢が、それぞれ別の指標の判定になっており、基準値を持っていないと答えられない。新生児のバイタルサイン、光線療法の基準、生理的体重減少、排尿回数の目安を、それぞれ数値で押さえる。とくにバイタルサインは、成人の基準を無意識に当てはめないことが要点になる。
理解を深める
新生児の観察では、バイタルサインに加えて、哺乳力、活気、筋緊張、原始反射、皮膚(黄疸、発疹、臍部)、便と尿の性状、体重の推移を見る。黄疸の観察では、日齢24時間以内の出現(早発黄疸)、急速な上昇、2週間以上続く遷延性黄疸を病的として区別する。早発黄疸では血液型不適合による溶血を、遷延性黄疸では胆道閉鎖症や母乳性黄疸を考える。胆道閉鎖症では便が灰白色になるため、便色カードによる確認が母子健康手帳に組み込まれている。核黄疸(ビリルビン脳症)は、非抱合型ビリルビンが脳へ移行して神経障害を残すもので、これを防ぐために光線療法や交換輸血が行われる。傾眠、哺乳力の低下、筋緊張の異常、甲高い泣き声は、その初期の徴候として重要になる。この事例のように経過が順調な場合も、母親には、次に何を見ればよいか(哺乳、排泄、黄疸、活気)を具体的に伝えることが退院後の安心につながる。
間違えやすい考え方
検査値と所見の判定を問う型で、誤肢がそれぞれ別の指標である。新生児の基準値で一つずつ判定する。
5分で振り返る
①新生児黄疸の光線療法は固定のビリルビン値だけで決めない。②出生後時間、在胎週数、総血清ビリルビン、神経毒性リスク因子をノモグラムで照合する。③経皮値が閾値に近い場合は血清値で確認する。④治療中は体温、水分、哺乳、便尿を観察する。⑤退院後の再検時期も値と年齢で決める。
1分チェック
- 新生児のバイタルサインの基準は。→ 体温36.5〜37.5℃、呼吸数40〜60回/分、心拍数120〜160回/分。
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