妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。
公式正答:2
解説
妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いものを問う。風疹である。
この問題で問われていること
母子感染する病原体ごとに、児に生じる障害を対応づけられるか。
しくみから理解する
風疹ウイルスは経胎盤感染し、妊娠初期(とくに妊娠12週未満)に母体が初感染すると、先天性風疹症候群を引き起こす。三大徴候は感音難聴、白内障、先天性心疾患(動脈管開存症、肺動脈狭窄症)である。器官形成期に感染するほど障害が重く、頻度も高い。難聴は最も高頻度にみられる症状で、出生後しばらく気づかれず、新生児聴覚スクリーニングや言語発達の遅れで発見されることもある。
選択肢ごとの確認
妊娠20週までの感染で先天性水痘症候群を生じうる。皮膚の瘢痕、四肢の低形成、眼の異常、中枢神経障害が特徴で、難聴が主たる症状ではない。また分娩前後の母体感染では新生児水痘となり重症化する。
妊婦が罹患すると流産・早産のリスクが高まり、母体自身も重症化しやすいが、風疹のような特定の先天異常の症候群は知られていない。
ムンプスは難聴の原因となるが、それは出生後に罹患した場合のムンプス難聴であり、通常は一側性で高度である。妊娠中の感染による先天異常は確立していない。この『難聴』という共通点が誤肢として置かれている。
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混同しやすいポイント
『難聴』という語で流行性耳下腺炎を選びやすい点が最大の落とし穴である。ムンプス難聴は出生後の罹患による後天性、先天性風疹症候群の難聴は胎内感染による先天性で、時期がまったく違う。設問が『妊娠初期の感染で児に』と限定している点を読む。
理解を深める
先天性風疹症候群の予防は、妊娠前の風疹抗体の獲得に尽きる。妊娠中は生ワクチンを接種できないため、妊娠を希望する時期より前に抗体価を確認し、低ければ接種する(接種後は2か月程度の避妊が勧められる)。同居家族やパートナーの接種も、母体を感染から守るうえで有効である。妊婦健康診査では風疹抗体価が標準的に測定され、低い場合は流行期の外出や人混みを避けるよう指導し、産後にワクチンを接種する。TORCH症候群という枠組みで、トキソプラズマ、その他(梅毒など)、風疹、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスによる胎内感染をまとめて覚えるとよい。
間違えやすい考え方
母子感染と障害の対応を問う型で、誤肢に同じ症状(難聴)をきたす別の疾患が置かれている。時期と経路で区別する。
5分で振り返る
①先天性風疹症候群の三大徴候=感音難聴・白内障・先天性心疾患。②妊娠12週未満の感染で重症・高頻度。③難聴が最も高頻度。④予防は妊娠前の抗体獲得、妊娠中は生ワクチン不可。⑤ムンプス難聴は出生後の罹患による後天性。⑥TORCH症候群として整理する。
1分チェック
- 妊娠初期の風疹感染で児に何が起こるか。→ 先天性風疹症候群(難聴・白内障・心疾患)。
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