老年期の身体機能の変化で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
老年期の身体機能の変化で正しいものを問う。薬物代謝は遅延することである。
この問題で問われていること
加齢による変化の方向を、臓器ごとに正しく把握しているか。
しくみから理解する
加齢により肝血流量と肝細胞数が減少し、薬物代謝酵素の活性も低下するため、肝臓での代謝が遅くなる。同時に腎機能(糸球体濾過量)も低下するため排泄も遅れる。その結果、薬物の血中濃度が高くなり作用時間も延び、副作用が出やすくなる。加えて、体内水分量の減少と体脂肪率の増加により、水溶性薬物は血中濃度が上がりやすく、脂溶性薬物は蓄積しやすい。血清アルブミンの低下により、蛋白結合率の高い薬物では遊離型が増えて作用が強まる。
選択肢ごとの確認
逆で低下する。インスリン分泌の低下と骨格筋量の減少によるインスリン抵抗性の増大により、食後血糖が上がりやすくなる。高齢者に糖尿病が多い理由の一つである。
逆で低下する。抗利尿ホルモンへの尿細管の反応性が低下し、髄質の浸透圧勾配も保ちにくくなるため、尿を濃くできない。これが夜間頻尿と脱水しやすさにつながる。
逆で増加する。肺の弾性収縮力が低下し、末梢気道が呼気時に虚脱しやすくなるため、吐き出しきれない空気が増える。一方、肺活量は減少する。全肺気量はほぼ変わらず、その内訳が変わると理解する。
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混同しやすいポイント
誤肢3つがすべて方向の逆で作られている。加齢では『機能は下がる、ただし残気量と残尿は増える』と、増えるものを例外として覚えると整理しやすい。増えるのは、残気量、残尿量、体脂肪率、収縮期血圧、脈圧である。
理解を深める
薬物動態の変化は、高齢者の看護で最も実務に直結する知識である。腎排泄型の薬剤(ジゴキシン、多くの抗菌薬、H2受容体拮抗薬、一部の糖尿病薬)は蓄積しやすく、推算糸球体濾過量(eGFR)で用量を調整する。血清クレアチニンは筋肉量に左右されるため、高齢者では見かけ上正常でも腎機能が低下していることがある。ベンゾジアゼピン系は作用が遷延して転倒とせん妄を招く。抗コリン作用のある薬剤は口渇、便秘、尿閉、認知機能低下を起こす。多剤併用(ポリファーマシー)は有害事象の頻度を高めるため、定期的な処方の見直しが必要になる。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が全部方向の逆になっている。1つ確実に方向を知っていれば連鎖的に判定できる。
5分で振り返る
①肝血流・代謝酵素の低下で代謝が遅延、腎機能低下で排泄も遅延。②体水分減少・体脂肪増加・アルブミン低下も影響。③耐糖能は低下、尿濃縮力も低下。④残気量は増加、肺活量は減少。⑤増えるのは残気量・残尿・体脂肪率・収縮期血圧・脈圧。⑥eGFRで用量調整、ポリファーマシーに注意。
1分チェック
- 高齢者で薬の効き方はどう変わるか。→ 代謝と排泄が遅れ、効果が強く長く出る。
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