胆汁の作用はどれか。
公式正答:1
解説
胆汁の作用を問う。脂肪の乳化である。
この問題で問われていること
消化液ごとに、何にどう働くかを区別できるか。
しくみから理解する
胆汁は肝細胞で産生され、胆嚢で濃縮されて十二指腸へ分泌される。主成分は胆汁酸、コレステロール、リン脂質、胆汁色素(ビリルビン)で、消化酵素は含まない。胆汁酸は分子の一方が水になじみ、他方が脂になじむ性質を持ち、大きな脂肪の塊を細かい粒に分散させる。これが乳化で、脂肪の表面積が大きくなることで、膵液に含まれるリパーゼが効率よく働けるようになる。つまり胆汁自体は脂肪を分解せず、分解を助ける役割を担う。
選択肢ごとの確認
胃液のペプシン、膵液のトリプシン・キモトリプシン、腸液のペプチダーゼが担う。胆汁には消化酵素が含まれない。
胃酸の分泌はガストリン、迷走神経、ヒスタミンによって促進される。胆汁はむしろ十二指腸へ分泌されるもので、胃酸の分泌を促す働きはない。
唾液のアミラーゼ、膵液のアミラーゼ、腸液のマルターゼ・スクラーゼ・ラクターゼが担う。
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混同しやすいポイント
『胆汁には消化酵素がない』という一点が核心である。消化液の中で酵素を含まないのは胆汁だけで、他(唾液、胃液、膵液、腸液)はいずれも酵素を含む。乳化は物理的な作用であり、化学的な分解とは区別する。この違いを押さえると誤肢3つを一度に落とせる。
理解を深める
胆汁酸は腸管で脂肪の吸収を助けた後、回腸末端で再吸収され、門脈を経て肝臓へ戻る。これを腸肝循環といい、1日に数回繰り返される。回腸末端を切除するとこの循環が断たれ、胆汁酸が大腸へ流入して下痢(胆汁酸性下痢)を起こし、また脂肪の吸収も低下して脂肪便となる。クローン病や回腸切除後で問題になる。閉塞性黄疸では胆汁が腸へ届かないため、脂肪と脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収が障害され、ビタミンK欠乏による出血傾向が生じる。胆嚢の収縮はコレシストキニンによって促され、脂肪の多い食事の後に胆石発作が起こりやすいのはこのためである。
間違えやすい考え方
作用を問う単純な型だが、『分解』と『乳化』の違いを理解していないと迷う。酵素の有無で切る。
5分で振り返る
①胆汁には消化酵素が含まれない。②胆汁酸が脂肪を細かく分散させ(乳化)、リパーゼの働きを助ける。③蛋白分解はペプシン・トリプシン、糖分解はアミラーゼ。④胆汁酸は回腸末端で再吸収され腸肝循環する。⑤回腸切除で胆汁酸性下痢と脂肪便。⑥胆嚢収縮はコレシストキニンによる。
1分チェック
- 胆汁の作用は何か。→ 脂肪の乳化(消化酵素は含まない)。
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