慢性閉塞性肺疾患〈chronic obstructive pulmonary disease〉〈COPD〉の危険因子はどれか。
公式正答:3
解説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の危険因子を問う。たばこ煙である。
この問題で問われていること
疾患の原因を、曝露するものの種類から特定できるか。
しくみから理解する
COPDは、有害物質の長期吸入によって生じる進行性の気流閉塞を特徴とする疾患である。原因の大部分は喫煙で、患者の多くに長期の喫煙歴がある。たばこ煙に含まれる酸化物質と有害物質が気道と肺胞に慢性の炎症を起こし、気道壁の肥厚と分泌の亢進、肺胞壁の破壊(肺気腫)を招く。その結果、呼気時に末梢気道が虚脱して空気が閉じ込められ、労作時呼吸困難、慢性の咳と痰が生じる。禁煙は、呼吸機能の低下を緩やかにする最も重要な介入になる。ただし唯一の有効な手段ではない。呼吸リハビリテーションは運動耐容能と生活の質を改善して入院を減らし、重症の低酸素血症に対する長期酸素療法は生命予後を改善し、吸入薬による治療とワクチンの接種は増悪を減らす。受動喫煙、大気汚染、職業性の粉じん曝露も要因になる。
選択肢ごとの確認
アレルギー性鼻炎や気管支喘息の誘因となる吸入抗原である。喘息は可逆性の気流制限を特徴とし、COPDの非可逆性とは異なる。ただし両者が併存する状態(喘息COPDオーバーラップ)もある。
薬剤性肺障害(間質性肺炎など)の原因にはなるが、COPDの危険因子ではない。
肝疾患、膵炎、依存症、悪性腫瘍などの危険因子だが、COPDとの直接の関連は確立していない。
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混同しやすいポイント
COPDと気管支喘息の違いを押さえる。COPDは中高年に多く、喫煙が主因、気流閉塞は非可逆的で進行性、痰を伴う慢性の咳と労作時呼吸困難が主症状。喘息は若年発症も多く、アレルギーが背景にあり、気流制限は可逆的で変動し、発作性の呼吸困難と喘鳴が主症状。治療も、COPDは長時間作用性気管支拡張薬が中心、喘息は吸入ステロイドが中心と異なる。
理解を深める
COPDの管理は、禁煙、薬物療法(長時間作用性抗コリン薬・β2刺激薬)、呼吸リハビリテーション、栄養管理、ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌)、在宅酸素療法が柱になる。禁煙は病期を問わず最も効果が大きく、禁煙外来や禁煙補助薬(ニコチン製剤、バレニクリン)の活用を勧める。呼吸リハビリテーションでは、口すぼめ呼吸と腹式呼吸、運動療法、動作と呼吸の同調を指導する。栄養面では、呼吸仕事量の増大によりエネルギー消費が高く、体重減少が予後不良因子となるため、十分なエネルギーと蛋白の確保が要る。急性増悪の主因は気道感染で、その予防が入院と死亡を減らす。
間違えやすい考え方
危険因子を問う型で、誤肢が別疾患の誘因である。曝露するものと標的臓器の対応で切る。
5分で振り返る
①COPDは有害物質の長期吸入による非可逆的な気流閉塞、主因は喫煙。②症状は慢性の咳・痰・労作時呼吸困難。③禁煙が呼吸機能の低下を緩やかにする最も重要な介入。ほかに、呼吸リハビリテーション(運動耐容能と生活の質、入院の減少)、重症の低酸素血症への長期酸素療法(生命予後)、吸入薬とワクチン(増悪の減少)がある。④喘息は可逆的でアレルギーが背景、吸入ステロイドが中心。⑤急性増悪の主因は気道感染、ワクチンで予防。⑥体重減少は予後不良因子。
1分チェック
- COPDの最大の危険因子は何か。→ たばこ煙(喫煙)。
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