胃癌〈gastric cancer〉のVirchow〈ウィルヒョウ〉転移が生じる部位はどれか。
公式正答:4
解説
胃癌のウィルヒョウ転移が生じる部位を問う。左鎖骨上窩である。
この問題で問われていること
特徴的な転移の名称と部位を対応づけられるか。
しくみから理解する
ウィルヒョウ転移は、胃癌などの腹部の悪性腫瘍が、リンパの流れに沿って左鎖骨上窩のリンパ節へ転移したものである。腹腔内のリンパは胸管に集まり、胸管は左静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)へ注ぐ。この解剖学的な経路により、腹部の癌が左の鎖骨上リンパ節に転移する。触診で左鎖骨上窩に硬いリンパ節を触れれば、遠隔転移を示す所見となり、進行癌を意味する。
選択肢ごとの確認
血行性転移の代表的な部位である。ウィルヒョウ転移はリンパ行性であり、名称が示す部位も異なる。
胃癌では門脈を介した血行性転移が肝臓に多く生じる。これも重要な転移経路だが、ウィルヒョウ転移ではない。
腹腔内に播種した癌細胞が、重力で最も低い位置である直腸子宮窩(ダグラス窩)に着床したもので、シュニッツラー転移と呼ばれる。播種性転移であり、経路が異なる。
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混同しやすいポイント
胃癌の特徴的な転移には固有の名称があり、まとめて覚える。ウィルヒョウ転移=左鎖骨上リンパ節(リンパ行性)、シュニッツラー転移=ダグラス窩(播種性)、クルーケンベルグ腫瘍=卵巣(播種性・血行性)、肝転移=門脈経由(血行性)。名称と部位と経路の3点をセットにする。なお第115回午前29の解説で扱ったVirchowは『Virchowの3徴(血栓形成)』であり、こちらのウィルヒョウ転移とは別概念である。同じ人物名に由来する複数の用語がある点に注意する。
理解を深める
胃癌の危険因子には、ヘリコバクター・ピロリ感染、萎縮性胃炎、塩分の多い食事、喫煙、家族歴がある。早期胃癌は無症状のことが多く、検診による発見が重要である。対策型検診では、50歳以上を対象に2年に1回の内視鏡検査または胃部エックス線検査が推奨されている。進行すると、心窩部痛、体重減少、貧血、黒色便が現れる。治療は、早期であれば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、進行例では外科的切除と化学療法が行われる。胃切除後には、ダンピング症候群、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血(内因子の減少による。数年後に発症)、鉄欠乏性貧血、骨代謝異常が生じうるため、長期のフォローが必要になる。
間違えやすい考え方
転移の名称と部位を問う型で、誤肢に別の転移経路の部位が置かれている。名称と経路をセットで覚える。
5分で振り返る
①ウィルヒョウ転移=左鎖骨上リンパ節、リンパ行性(胸管が左静脈角へ注ぐため)。②シュニッツラー転移=ダグラス窩、播種性。③クルーケンベルグ腫瘍=卵巣。④肝転移=門脈経由の血行性。⑤胃癌の危険因子はピロリ菌・萎縮性胃炎・塩分・喫煙。⑥胃切除後はB12欠乏性貧血が数年後に出る。
1分チェック
- ウィルヒョウ転移はどこに生じるか。→ 左鎖骨上窩のリンパ節。
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