インスリン療法で正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
インスリン療法で正しいものを問う。有害事象は低血糖であることである。
この問題で問われていること
インスリンの作用から生じる有害事象と、実施上の注意を理解しているか。
しくみから理解する
インスリンは血糖を下げるホルモンであり、投与量が必要量を上回れば血糖が下がりすぎる。食事が摂れなかった、量が少なかった、いつもより運動した、といった状況で低血糖が起こる。症状は、血糖が下がる過程で交感神経が反応して現れる発汗、動悸、振戦、不安、空腹感(警告症状)と、さらに下がって中枢神経が機能しなくなる頭痛、集中力低下、意識障害、けいれん、昏睡である。意識があればブドウ糖10gまたは砂糖20g程度を経口摂取し、意識がなければブドウ糖の静注またはグルカゴンの投与を行う。
選択肢ごとの確認
逆である。同じ部位に繰り返すとインスリンボール(皮下の硬結・脂肪の肥大)を生じ、そこからの吸収が不安定になって血糖コントロールが乱れる。2〜3cmずつずらしてローテーションする。腹部、上腕外側、大腿外側、殿部が部位となり、部位により吸収速度が異なる(腹部が最も速い)。
逆である。超速効型は注射後10〜20分で効き始め、食直前に打って食後の血糖上昇を抑える製剤である。就寝前には、作用が緩やかで長く続く持効型溶解インスリンを用いて、夜間から翌朝の基礎分泌を補う。就寝前に超速効型を打てば夜間低血糖を起こす。
必須ではない。2型糖尿病では、食事療法と運動療法が基本で、次に経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬が用いられる。インスリンは、これらでコントロールが得られない場合、著しい高血糖、感染症や手術などの侵襲時、妊娠時などに導入される。一方、1型糖尿病ではインスリンの分泌が枯渇するため、生命維持に必須である。
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混同しやすいポイント
1型と2型でインスリンの位置づけが違う点が要点である。1型は必須、2型は選択肢の一つ。また製剤の作用時間による使い分け(超速効型・速効型は食事に合わせて、中間型・持効型は基礎分泌を補う)を押さえる。シックデイ(発熱や下痢で食事が摂れないとき)でも、1型では自己判断でインスリンを中止してはならず、ケトアシドーシスを招く。
理解を深める
自己注射の指導では、手技(手洗い、消毒、空打ち、皮下をつまむか否か、注入後5〜10秒待つ)、部位のローテーション、針の毎回交換、保管方法(未開封は冷蔵、使用中は室温で遮光、凍結させない)、低血糖への備え(ブドウ糖の携帯、糖尿病連携手帳や識別カード)、シックデイルールを伝える。高齢者では、視力、手指の巧緻性、認知機能を評価し、必要なら家族の支援や訪問看護、簡便なデバイスの選択を検討する。低血糖を繰り返すと警告症状が出にくくなる無自覚性低血糖が生じ、危険が増すため、頻回の低血糖は必ず医師へ報告する。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が手技の逆、製剤の取り違え、適応の誤りで構成されている。作用時間と部位の管理が押さえどころ。
5分で振り返る
①低血糖の警告症状=発汗・動悸・振戦・空腹感。②進むと意識障害・けいれん。③対応はブドウ糖10g経口、意識がなければブドウ糖静注かグルカゴン。④注射部位は毎回ずらす(インスリンボールの防止)。⑤超速効型は食直前、持効型は基礎分泌を補う。⑥1型では必須、2型では選択肢の一つ。⑦シックデイでも自己中断しない。
1分チェック
- インスリン療法の主な有害事象は何か。→ 低血糖。
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