長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。 A の位置にクッションを挿入する目的はどれか。
公式正答:2
解説
長期臥床患者の仰臥位で、足底側(図のA)にクッションを挿入する目的を問う。尖足の予防である。
この問題で問われていること
ポジショニングの各部位が何を防いでいるかを対応づけられるか。
しくみから理解する
仰臥位では、掛け物の重みと重力により足関節が底屈(つま先が下がった状態)になりやすい。この肢位が長く続くと、下腿三頭筋とアキレス腱が短縮し、足関節が底屈位で固まる尖足拘縮となる。いったん生じると立位や歩行が困難になり、離床の妨げになる。足底にクッションやフットボードを当てて足関節を中間位(背屈0度)に保てば、これを防げる。あわせて他動的な足関節の運動を行うと効果が高い。
選択肢ごとの確認
仰臥位での褥瘡の好発部位は仙骨部、踵骨部、後頭部、肩甲骨部である。足底にクッションを入れることは踵の除圧にはつながりうるが、この位置に入れる主目的は関節の肢位の保持である。踵の除圧を目的とするなら、下腿全体を支えて踵を浮かせる方法をとる。
腓骨神経は腓骨頭の外側を通るため、下肢が外旋して腓骨頭が寝具に圧迫されると麻痺を生じる。予防には、大転子部から大腿外側にクッションを当てて外旋を防ぐ。足底ではなく側方に当てる点が異なる。
下肢の静脈還流を保つために行うもので、足関節の底背屈運動、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、早期離床が対策になる。足底のクッションは血流を促す装置ではない。
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混同しやすいポイント
ポジショニングは、部位ごとに目的が異なる。足底=尖足の予防、大腿外側=股関節の外旋と腓骨神経麻痺の予防、膝窩=膝の軽度屈曲による安楽(ただし長時間は静脈還流を妨げる)、腰背部=脊柱の生理的弯曲の保持、上肢=肩関節の亜脱臼と浮腫の予防。どこに何を当てると何を防げるかを一覧で持つ。
理解を深める
長期臥床では、廃用症候群として関節拘縮、筋萎縮、褥瘡、起立性低血圧、深部静脈血栓症、沈下性肺炎、便秘、骨萎縮が同時に進行する。ポジショニングはこのうち関節拘縮と褥瘡に直接働きかけるが、根本的な対策は早期離床である。拘縮は、いったん成立すると回復が困難なため予防が決定的に重要になる。良肢位(万一拘縮しても機能的に困らない肢位)は、足関節では底背屈0度、股関節は屈曲10〜30度で外転外旋なし、膝関節は屈曲10度程度、肘関節は屈曲90度とされる。関節可動域訓練は1日数回、痛みのない範囲でゆっくり行う。
間違えやすい考え方
図の位置と目的を対応させる型だが、問われているのは『足底=尖足予防』という一対一の知識である。図が読めなくても部位と目的の対応表があれば解ける。
5分で振り返る
①仰臥位では足関節が底屈しやすく尖足拘縮を招く。②足底にクッションやフットボードで中間位を保つ。③腓骨神経麻痺の予防は大腿外側に当てて外旋を防ぐ。④膝窩の枕は安楽だが長時間は静脈還流を妨げる。⑤良肢位は足関節0度、股関節屈曲10〜30度、膝屈曲10度、肘屈曲90度。⑥根本の対策は早期離床。
1分チェック
- 足底にクッションを入れる目的は何か。→ 尖足の予防(足関節を中間位に保つ)。
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