創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われるのはどれか。
公式正答:2
解説
創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われる時期を問う。炎症期である。
この問題で問われていること
創傷治癒の各期に、どの細胞が主役として働くかを対応づけられるか。
しくみから理解する
創傷治癒は、出血・凝固期、炎症期、増殖期、成熟期の順に進む。炎症期(受傷後およそ数日)では、まず好中球が集まって細菌を貪食し、続いてマクロファージが到達する。マクロファージは、壊死組織や異物、役目を終えた好中球を貪食して創面を清浄化するとともに、成長因子とサイトカインを放出して線維芽細胞と血管内皮細胞を呼び寄せる。つまり、掃除役であると同時に、次の増殖期を始動させる司令塔でもある。マクロファージの働きが不十分だと治癒が遅延する。
選択肢ごとの確認
血小板が凝集してフィブリン血栓を形成し、止血する段階である。数分から数時間の現象で、細胞による貪食はまだ始まっていない。血小板からは成長因子が放出され、炎症期を呼び込む。
線維芽細胞がコラーゲンを産生し、血管新生が起こって肉芽組織が形成され、創縁から上皮化が進む段階である。主役は線維芽細胞と血管内皮細胞、上皮細胞である。
コラーゲンが再構築されて瘢痕が成熟し、創の強度が増していく段階である。年単位で続くこともある。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
各期の主役となる細胞で覚えると混同しない。出血・凝固期=血小板、炎症期=好中球とマクロファージ、増殖期=線維芽細胞と血管内皮細胞と上皮細胞、成熟期=コラーゲンの再構築。好中球が先、マクロファージが後という順序も押さえる。
理解を深める
創傷治癒を妨げる要因には、感染、壊死組織の残存、血流不足、低栄養(とくに蛋白質、ビタミンC、亜鉛の不足)、糖尿病、副腎皮質ステロイドの使用、加齢、喫煙、乾燥、圧迫とずれがある。現在の創管理は、創面を洗浄して異物と壊死組織を除去し、湿潤環境を保つ(moist wound healing)という考え方が基本になっている。消毒薬は正常な細胞も傷害するため、明らかな感染がなければ生理食塩液や水道水による洗浄で足りる。ドレッシング材は、創の滲出液の量と創面の状態に応じて選ぶ。褥瘡ではDESIGN-R分類で評価し、経過を記録する。
間違えやすい考え方
時期と細胞の対応を問う型で、4肢すべてが治癒過程の期である。主役の細胞で切る。
5分で振り返る
①出血・凝固期=血小板が止血。②炎症期=好中球が先、マクロファージが後。壊死組織を貪食し成長因子を放出。③増殖期=線維芽細胞と血管新生で肉芽形成、上皮化。④成熟期=コラーゲンの再構築。⑤治癒を妨げるのは感染・壊死組織・血流不足・低栄養・糖尿病・ステロイド。⑥湿潤環境を保つ管理が基本。
1分チェック
- マクロファージが貪食を行うのはどの時期か。→ 炎症期。
この問題に対応する教材の確認中です。