血漿中の重炭酸イオン濃度が基準値よりも高くなるのはどれか。
公式正答:4
解説
慢性的に二酸化炭素が溜まると、腎臓が重炭酸イオンを増やして代償する。だから重炭酸イオンが高くなる。
この問題で問われていること
呼吸性の異常に対する腎性の代償を理解しているか。急性と慢性の違いを読めるか。
しくみから理解する
慢性閉塞性肺疾患などで換気障害が長く続くと、二酸化炭素が排出できずに動脈血二酸化炭素分圧が上がり、pHが下がる(呼吸性アシドーシス)。これに対して腎臓が数日かけて代償する。水素イオンの排泄を増やし、重炭酸イオンの再吸収と新生を増やすので、血漿中の重炭酸イオン濃度が基準値(22〜26mEq/L)より高くなる。この代償によりpHは正常近くまで戻る。呼吸性の異常には腎性の代償、代謝性の異常には呼吸性の代償が働くという対の関係になっている。 【接地元】ガイトン生理学 酸塩基平衡の調節、人体の構造と機能 第5版 体液
選択肢ごとの確認
二酸化炭素を吐きすぎて呼吸性アルカローシスになる。代償として腎臓は重炭酸イオンの排泄を増やすので、重炭酸イオンは低くなる。
水素イオンを排泄できず、重炭酸イオンの再吸収と新生もできなくなるため、代謝性アシドーシスになり重炭酸イオンは低下する。
インスリンの不足でケトン体が蓄積し、糖尿病性ケトアシドーシスになる。増えた酸を中和するために重炭酸イオンが消費されるので低下する。
呼吸性アシドーシスに対して腎臓が重炭酸イオンを増やして代償するため、重炭酸イオン濃度が高くなる。
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混同しやすいポイント
重炭酸イオンが上がる場面を「アルカローシス」と直結させると、過換気を選んでしまう。重炭酸イオンは酸を中和する側なので、酸が増えれば消費されて減り、酸を排泄できない状態が続けば代償として増える。原因なのか代償なのかを見分けることが要点。
理解を深める
血液ガスの読み方を4段階で身につけるとこの種の問題はすべて解ける。①pHを見てアシドーシスかアルカローシスかを決める。②PaCO2を見て呼吸性かどうかを判定する(pHと逆方向なら呼吸性が原因)。③重炭酸イオンを見て代謝性かどうかを判定する(pHと同方向なら代謝性が原因)。④原因でないほうが代償として動いているかを見る。慢性の呼吸性アシドーシスでは、PaCO2が高く重炭酸イオンも高く、pHは正常近くという組合せになる。
間違えやすい考え方
同じ数値の変化が、原因としても代償としても起こりうることを利用した型。設問が「慢性的な」と時間を示しているのは、代償が完成していることを示すため。
5分で振り返る
重炭酸イオンの基準値は22〜26mEq/L。慢性の換気障害=呼吸性アシドーシス→腎臓が数日かけて重炭酸イオンを増やして代償→重炭酸イオン高値。過換気=呼吸性アルカローシス→腎が重炭酸イオンを捨てる→低値。腎不全と糖尿病性ケトアシドーシス=代謝性アシドーシス→重炭酸イオン低値、呼吸性に代償(クスマウル大呼吸)。呼吸性の異常には腎が、代謝性の異常には肺が代償する。
1分チェック
- 重炭酸イオンの基準値はいくらか
- 呼吸性アシドーシスの代償はどの臓器が行うか
- 腎不全で重炭酸イオンはどうなるか
- 血液ガスを読む4段階を言えるか
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